パック (妖精)

いたずら好き妖精パック：様々な姿と呼び名を持つ精霊

パックは、イギリスに伝わる妖精、精霊、あるいはフェアリーとして知られています。地域によってはポーク、プーク、パックル、パグなど、様々な呼び名で呼ばれ、その姿も多様です。毛深い小柄な人間の姿から、ヤギの脚を持つ半人半獣の姿まで、実に多彩な容姿で描かれることから、パックは変幻自在な能力を持つ妖精であると考えられています。

パックは、いたずら好きな性格で知られ、人間を困らせたり、まごつかせたりすることがよくあります。ウィル・オ・ウィスプのように、人を迷わせることもあります。しかし一方で、貧しい人々や弱い者、恋人たちを助けるといった、良い面も持ち合わせていると信じられています。この点から、自然の精霊であるロビン・グッドフェローと混同されることも少なくありません。

パックは、イギリスだけでなく、ヨーロッパ各地にもその名を知られています。ウェールズではピスカ、プカ、ドイツではポーク、アイスランドではプカ、スカンジナビアではプキィエ、エストニアやラトビアではプキスなどと呼ばれ、その存在は広く認識されています。

これらの呼び名や姿の多様性は、パックの起源がケルト神話に遡ることに関係していると考えられます。ケルト神話に登場するプーカ（Púca）が、パックのルーツになっているとされています。また、ホブゴブリンやロビン・グッドフェローと同一視されることもありますが、それらとは異なる独自の性質も持ち合わせています。

民話においては、いたずら好きな妖精として登場し、トリックスターとして分類されます。その変幻自在な姿と、時に人を困らせる行動、そして時に人々を助けるといった善悪両面性を持つ存在として、パックは人々の想像力を掻き立て、様々な物語を生み出してきたのです。

パックに由来するもの

パックの名は、様々な分野で使われています。

ピクシー: 現代で最も知られている妖精の種族の一つ。パックに愛称語尾「-sy」が付いたものと考えられています。
パック (衛星): 天王星の第15衛星。
パックの踊り: クロード・ドビュッシーのピアノ曲『前奏曲集』第1巻の第11曲。
PUCK: 宝塚歌劇団のミュージカル作品。
* パックインミュージック: TBSラジオで放送されていた番組。ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』に登場するパックをマスコットキャラクターとして起用していました。番組のイメージとパックの性質が合致していたことが、その理由として考えられます。

このように、パックは民話や伝説にとどまらず、現代の文化にも多大な影響を与え続けています。いたずら好きで変幻自在なその姿は、人々の想像力を刺激し、これからも様々な形で表現されていくことでしょう。

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