パティーニョ級補給艦

パティーニョ級補給艦について

概要

パティーニョ級補給艦は、オランダとスペインが共同で設計・建造した補給艦の艦級です。この艦級は、洋上での燃料や物資の補給を効率的に行うことを目的としており、スペイン海軍はこの艦級を基に発展型のカンタブリアを建造しました。

来歴

この艦級の開発は1988年11月に始まり、オランダの統一造船事務所（NEVESBU）とスペインのバサン社が設計を協力して行いました。オランダ海軍は1991年10月に、続いてスペイン海軍が同年12月26日にこの艦を発注しました。その後、1995年4月3日にオランダ艦の海上公試が開始され、2004年にはスペイン海軍が「カンタブリア」の建造を開始しました。

設計の特徴

パティーニョ級は、前部艦橋と後部上部構造を持つ独特な形状をしています。艦橋は艦首寄りに配置されていますが、補給ポストが中央部の両側に設けられ、充実した管制室も併設されています。この管制室は、厳しい海象条件でも運用可能なように、頑丈で囲まれた設計がなされています。

艦橋周辺には操艦スペース、士官住居、医療設備、補機室、事務室などが集められています。一方、後部上構には兵員室、ヘリコプター用ハンガー、機関操縦室、作業室、及び各種倉庫が配置されています。コストを抑えるため、艦はロイド商船規格で建造されていますが、軍艦としての必要な防護策もきちんと講じられています。「カンタブリア」では、さらに二重船底へと改良され、全体的に8メートル長く、2,000トンの排水量増加が見られました。また、女性乗員が考慮され、「アムステルダム」型では最大20%、パティーニョ型では50名までの女性乗員を搭載可能となっています。

補給能力

この艦級は、洋上での補給ステーションとしても機能し、両舷にはドライカーゴと液体貨物を兼用するための2ヶ所ずつ、さらにはドライカーゴ専用の場所も設けられています。艦尾からの補給も可能で、さらに前方にはVERTREP用のステーションも設置されています。

燃料移送の速度は、左右舷および艦尾によって異なり、左舷では毎時1,000 m³、右舷では600 m³、艦尾では450 m³という数値が記録されています。左舷側の給油速度が高いのは、航空母艦への補給を考慮したためとされています。艦は、シーステート6においても補給活動を継続することができるため、過酷な条件下でも運用が可能です。

搭載能力

この艦は、最大搭載可能な物資は10,300トンに達し、標準的には以下の内容を搭載します。

• - 艦艇燃料（貨油）：6,700トン
• - 航空燃料（JP-5）：1,660トン
• - 真水：180トン
• - 弾薬：180.9トン
• - 食糧：83.3トン
• - ソノブイ：25トン
• - 予備部品：9トン

これらの搭載能力からも、パティーニョ級補給艦が高い汎用性を持つことがわかります。

まとめ

パティーニョ級補給艦は、その設計と機能により、現代の海上戦力において重要な役割を果たしています。オランダとスペインの協力によって生まれたこの艦級は、今後の海洋活動における基盤となり、信頼性の高い補給能力を持つ艦船としてさらに期待されています。

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