パトリス・ルムンバ名称民族友好大学

パトリス・ルムンバ民族友好大学（現：ロシア諸民族友好大学）

パトリス・ルムンバ民族友好大学は、冷戦時代にソビエト連邦が設立した教育機関です。当初は、ソ連と友好的な関係にあった第三世界諸国からの留学生を受け入れ、共産主義思想や経済政策を教育することを目的としていました。この大学は、アフリカの独立運動の指導者であったパトリス・ルムンバを讃え、「パトリス・ルムンバ」の名を冠しています。

設立の背景

大学は1960年に設立されました。当時、ソ連は共産主義のイデオロギーを広めるために、アジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカなどの地域から学生を集めました。この大学は、第二次世界大戦前に存在した東方勤労者共産大学の思想を受け継ぎ、対象地域を拡大した形で再建されたとも言えます。開校当初は、約60カ国から約600名の学生が集まっていました。

かつての姿

この大学は、国際的なテロリストとして知られるイリイチ・ラミレス・サンチェス（カルロス・ザ・ジャッカル）をはじめ、多くの発展途上国の革命家が留学していたことで知られています。また、日系ロシア人の政治家であるイリーナ・ムツオヴナ・ハカマダもこの大学の卒業生です。さらに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の娘であるマリアも一時在籍していたことが知られています。

現在の姿

1991年のソ連崩壊後、1992年2月5日に大学は「ロシア諸民族友好大学（РУДН）」と改称されました。現在では、152カ国から28,000人以上の大学生や大学院生が集まる国際的な学術拠点となっています。500以上の民族の学生が共に学び、ロシアの大学ランキングでは常に上位を維持しています。また、BRICS諸国の大学ランキングでもトップ100に入り、世界大学ランキングでも500位に入るなど、ロシアを代表する大学の一つです。

大学の中央棟の前には、「五大陸」のそれぞれを代表する5人の若者が「地球」を支える姿を象徴した像が設置されており、大学の国際性を物語っています。

関連事項

東方勤労者共産大学：1921年に設立され、植民地の共産主義者幹部を養成した大学
国際レーニン学校：1926年に設立され、コミンテルンのボルシェビキ化を推進した学校

主な卒業生

マフムード・アッバス：パレスチナ自治政府大統領
ダニエル・オルテガ：ニカラグア大統領

参考文献

アンドレイ・イーレシュ『KGB極秘文書は語る - 暴かれた国際事件史の真相』（滝沢一郎訳、文藝春秋、1993年）ISBN 978-4163474205

外部リンク

公式サイト （ロシア語）)
公式サイト （英語）（中国語）（フランス語）（スペイン語）（アラビア語）
情報通信・ラジオ「スプートニク」（旧ロシアの声）


この大学は、冷戦時代の歴史を今に伝える貴重な存在であり、国際的な学術交流の舞台として、今後も重要な役割を果たしていくでしょう。

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