パトリック・マクグーハン

パトリック・マクグーハンについて

パトリック・マクグーハン（Patrick McGoohan）は、アイルランド系の俳優、脚本家、プロデューサー、監督であり、1928年3月19日にニューヨーク市で生まれました。彼の本名はパトリック・ジョーゼフ・マクグーハンです。生後まもなく、アイルランド人の両親と共に母国に帰国し、7歳の時にイギリスのシェフィールドへ移住しました。

マクグーハンは、幼少期から重度の喘息に悩まされましたが、ボクシングに打ち込むなどして、体力を養いました。家庭は熱心なカトリック信者であったため、幼少期にはカトリックの司祭を志望していましたが、次第に演劇に興味を持つようになりました。悩みながらも、最終的には舞台の道を選ぶことを決意します。

ラトクリフ・カレッジを卒業後、銀行や養鶏場での事務職を経ながら、アマチュア劇団で演技の技術を磨きました。シェフィールド・レパートリー・シアターでは舞台裏での仕事をしながら、病気で降板した俳優の代役を演じたことが、彼の劇団における主要俳優としてのキャリアの始まりとなりました。

1950年代半ばからはテレビドラマにも出演し始め、特に1960年に放送が開始された『秘密指令』では、NATOスパイのジョン・ドレイク役を務め、さらに続編『秘密諜報員ジョン・ドレイク』でも主演を果たしました。これにより、彼はイギリスのトップテレビ俳優の一人としての地位を確立します。

しかし、彼の名声を不動のものとしたのは、1967年に放送された『プリズナーNo.6』です。このシリーズでは主演のみならず、製作や監督、脚本も手掛けました。独特のストーリー展開と実験的な表現に満ちたこの作品は、多くの視聴者に深い印象を与え、今日においてもカルト的な人気を誇っています。

マクグーハンはアメリカでも多くの仕事をこなし、特に『刑事コロンボ』シリーズのエピソード「祝砲の挽歌」に出演し、その見事な演技が評価されてエミー賞を受賞しました。また、この役をきっかけに、彼はピーター・フォークと深い友情を築くこととなります。さらに、『仮面の男』や『新・刑事コロンボ』シリーズのいくつかのエピソードでは監督も務めました。

映画業界でも活躍し、ドン・シーゲル監督の『アルカトラズからの脱出』では冷徹な刑務所の長役を演じました。この作品では、彼が持つ強烈なキャラクターを引き立てる新たな一面を見せました。また、『ブレイブハート』や『評決のとき』にも出演しており、さらには『ザ・シンプソンズ』の一エピソードでの声の出演もありました。

私生活では、1951年に同じ劇団の女優であるジョアン・ドラモンドと結婚し、三人の子供をもうけました。子どもたちには女優として活躍しているキャサリンとアンが含まれ、父・娘で共演することもありました。晩年はロサンゼルスで家族と共に生活していましたが、2009年1月13日に入院先の病院で亡くなりました。享年80歳でした。

彼は人気作品への出演を辞退することで知られ、特に『007』シリーズや『セイント 冒険野郎』への出演を断りました。また、健康上の理由で『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリー・ポッターシリーズ』の主演役も拒否しており、俳優としての信念を貫いていました。

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