パニッシャー (2004年の映画)

映画『パニッシャー』（2004年）の詳細解説

『パニッシャー』（The Punisher）は、マーベル・コミックの人気キャラクターを実写化した、2004年のアメリカン・ヴィジランテ・アクション映画です。監督はジョナサン・ヘンズリー、主演はトーマス・ジェーンが務め、ジョン・トラボルタが共演しています。

概要

本作は、元FBI捜査官フランク・キャッスルが、犯罪組織のボス、ハワード・セイントによって家族を殺害されたことから、復讐の鬼「パニッシャー」となる物語を描いています。脚本は、ジョナサン・ヘンズリーとマイケル・フランスが担当。コミック『The Punisher: Year One』や『Welcome Back, Frank』をベースに、複数のパニッシャー作品からシーンが引用されています。

撮影は2003年、フロリダ州タンパとその周辺で行われました。制作には、アルチザン・エンターテインメントが出資し、ライオンズゲートと共同で配給。コロンビア・ピクチャーズが北米以外での配給を担当しました。

監督のヘンズリーは、マーベル・スタジオとの意見の相違がありながらも、この作品で監督デビューを果たしました。しかし、製作費は限られており、撮影日数も短縮を余儀なくされました。

公開初週にはアメリカで1,300万ドルの興行収入を記録。全世界で5,400万ドルの興行収入を挙げました。一方で、批評家からは賛否両論の評価を受けています。

続編の企画も進められましたが、監督や主演俳優の降板により頓挫。2008年にはリブート版『パニッシャー: ウォー・ゾーン』が制作されました。

ストーリー

暗黒街のボス、ハワード・セイントは、FBIの潜入捜査によって次男を失います。セイントは報復として、捜査官フランク・キャッスルとその家族を襲撃。ただ一人生き残ったフランクは、法による裁きが期待できないことを悟り、自ら復讐することを決意します。

フランクは、セイントの資金洗浄された金を強奪し、彼の所有するボートを爆破。コンパウンドボウやグレネードランチャーなどの重装備で武装し、セイントの店へと乗り込みます。セイントを車で引きずり回し、最後に爆弾によって車を炎上させ、復讐を遂げます。その後、フランクは「パニッシャー」として、悪人を制裁する旅に出ます。

キャスト

フランク・キャッスル / パニッシャー：トーマス・ジェーン（日本語吹替：小山力也）
元デルタフォースのFBI捜査官。家族を殺害され、私刑執行人となる。

ハワード・セイント：ジョン・トラボルタ（日本語吹替：山路和弘）
犯罪組織のボス。家族への愛情が狂気に変わる。

マリア・キャッスル：サマンサ・マシス（日本語吹替：水落幸子）
フランクの妻。

ウィル・キャッスル：マーカス・ジョーンズ（日本語吹替：細野雅世）
フランクとマリアの息子。

フランク・キャッスル・Sr：ロイ・シャイダー（日本語吹替：小山武宏）
フランクの父。

リヴィア・セイント：ローラ・ハリング（日本語吹替：林真里花）
ハワードの妻。

ジョン・セイント：ジェームズ・カーピネロ
ハワードの長男。

ボビー・セイント：ジェームズ・カーピネロ
ハワードの次男。

クエンティン・グラス：ウィル・パットン（日本語吹替：大川透）
セイントの会計係。

ミッキー・デュカ：エディ・ジェイミソン（日本語吹替：渡辺穣）
セイントの部下。

ジミー・ウィークス捜査官：ラッセル・アンドリュース
フランクの元同僚。

マイク・トロ：エドゥアルド・ヤネス（日本語吹替：乃村健次）
マフィアのボス。

ジョー・トロ：オマール・アヴィラ（日本語吹替：上田燿司）
マフィアのボス。

ジョアン：レベッカ・ローミン=ステイモス（日本語吹替：斎藤恵理）
フランクの隣人。

スパッカー・デイブ：ベン・フォスター（日本語吹替：楠大典）
フランクの隣人。

ナサニエル・バンポ：ジョン・ピネット（日本語吹替：遠藤純一）
フランクの隣人。

ザ・ロシアン：ケビン・ナッシュ
ハワードが差し向けた刺客。

製作

マーベル・スタジオは1997年からパニッシャーの映画化を検討しており、2000年にアルチザン・エンターテインメントとの契約で、映画化が決定しました。本作はマーベルが製作費を負担した初の独立系大作映画となりました。

監督のジョナサン・ヘンズリーは、コミック『Welcome Back, Frank』をベースにしましたが、予算の都合で大幅な変更を加えました。撮影期間は52日と短く、予算も限られていました。これにより、当初予定されていた湾岸戦争のシーンはカットされました。

撮影はフロリダ州タンパで2003年7月から10月にかけて行われました。撮影中にライオンズゲートがアルチザンを買収しましたが、ライオンズゲートはこの映画の製作には関わっていません。

評価

興行収入は全世界で5,470万ドルを記録しました。しかし、批評家からは、その過剰な暴力描写や、ありきたりな復讐劇に対して批判的な意見が多く見られました。

Rotten Tomatoesでは、支持率29％、Metacriticでは33点という評価です。

一方で、一部の批評家からは、1960年代、70年代のアクション映画への回帰を評価する声も上がっています。

ホームメディア

DVDは2004年9月7日に発売され、初週で1080万ドルのレンタル収入を記録しました。2006年には、追加映像を収録したエクステンデッド・カットDVDが発売されました。また、2006年6月には劇場版のみ収録のBlu-ray Discが発売されています。

続編の中止とリブート

『パニッシャー2』の企画がありましたが、監督や主演俳優の降板により中止となりました。その後、2008年に『パニッシャー: ウォー・ゾーン』としてリブートされました。

短編映画

2012年には、トーマス・ジェーン主演の短編映画『The Punisher: Dirty Laundry』が制作されました。

関連項目

アベンジャーズ コンフィデンシャル: ブラック・ウィドウ & [[パニッシャー]]

外部リンク

The Punisher - Marvel.com
The Punisher - IMDb
* The Punisher - TCM Movie Database

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