パネルシアター

パネルシアターとは

パネルシアターは、毛羽立った布を貼ったパネルを舞台とし、不織布などで作られた絵や文字の紙人形を貼ったり外したりしながら、物語や歌、ゲームなどを展開する表現方法です。現在では、パネルには付着力の高いパネル布が、絵人形にはPペーパーや和紙などが使われています。

歴史

パネルシアターのルーツは、毛羽立った布同士が付着する性質を利用した、フランネルグラフやボントン絵といった表現技法に遡ります。フランネルグラフは、紙に描いた絵の裏にフランネルを貼り、それをフランネル地のパネルに貼って物語を展開するものでした。

これらの「絵ばなし」を改良し、1973年にパネルシアターを考案したのが、浄土宗西光寺の住職である古宇田亮順です。彼は、大学時代から子ども会活動での実践を重ね、教育委員会で社会教育主事としての活動を行った経験を活かしました。人形劇団太郎座の松田治仁が協力し、「シャボン玉とばせ」「とんでったバナナ」「くもの糸」といった作品が制作されました。

フランネルグラフからの大きな改良点として、絵を不織布の両面に描けるようになったことが挙げられます。これにより、絵人形の方向転換が容易になり、表現の幅が広がりました。古宇田は、それまで包装材や防音材として使われていた不織布の中から、Pペーパーとして最適な素材を見つけ出した功績は非常に大きく、外観は似ているものの、フランネルグラフとは表現力に大きな違いが生まれました。

古宇田の発想は更に発展し、ブラックライトを当てて蛍光インクで描かれた絵を動かすブラックパネルシアターや、幻灯機をパネルの裏から投影する影絵式パネルシアターも開発しました。これらの功績が認められ、古宇田は1981年に正力松太郎賞を受賞しました。

以来、パネルシアターは保育園、幼稚園、小学校などの保育・教育現場を中心に、広く活用されています。

特徴

パネルシアターの利点は、ペープサートと同様に、以下の点が挙げられます。

動きがあり、聴衆の興味を引きつけ、集中力を維持しやすい
登場人物を整理しやすい
絵を描く量が少ない
裏返すことで方向転換が可能

さらに、パネルシアターには以下のような特徴的な「しかけ」や「トリック」があります。

糸止めによる動き
重ね張りによる配置換え
ポケットイン・ポケットアウト
糸釣り・スライド・裏抜き

これらの技法を用いることで、よりダイナミックで創造的な表現が可能になります。

まとめ

パネルシアターは、その歴史と改良を経て、現代の教育現場で欠かせない表現方法となりました。子供たちの興味関心を引きつけ、物語の世界を豊かに表現する力は、教育的価値が高いと言えるでしょう。

参考文献

藤田佳子「パネルシアターの歴史(1) : 創始者古宇田亮順とパネルシアター」『淑徳短期大学研究紀要』第52巻、淑徳短期大学、2013年2月25日、181-196頁。
古宇田亮順 編『実習に役立つパネルシアターハンドブック』萌文書林、2009年。ISBN 9784893471369。
パネルシアター委員会 編『夢と笑顔をはこぶパネルシアター 誕生40周年記念誌』浄土宗、2011年。

関連項目

人形劇
ペープサート
エプロンシアター
* 淑徳大学

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