ペープサート

ペープサートは、紙人形劇を指す言葉で、「ペープサイド」とも呼ばれます。これらはどちらも和製英語で、英語では「paper puppet theater」と表記するのが正確です。

ペープサートの概要

ペープサートは、楕円形の厚紙に棒を取り付け、その両面に物語の登場人物を描いた人形を使用します。人形を操りながら物語を進行させる、日本発祥の人形劇です。その起源は江戸時代の「立絵」（写し絵）に遡り、第二次世界大戦後、永柴孝堂氏によって改良され、幼児向けの紙人形芝居として普及しました。永柴氏が「paper support theater」と翻訳したことも知られています。

ペープサートは、人物の絵が描かれた紙に棒を付けたものを動かして演じます。人形の表と裏に異なる絵を描くことで、動きや変化を表現することが特徴です。背景の前で人形を動かすだけでなく、人形の表裏を返すことで、より豊かな表現が可能になります。

ペープサートとアニメーション

特筆すべき点として、テレビアニメ黎明期には、ペープサートの手法が用いられていました。例えば、『鉄腕アトム』の最初のテレビ放送である『冒険漫画人形劇・鉄腕アトム』（1957年）は、ペープサート形式で制作されています。これは、その後のテレビアニメが、戦前からの東映系アニメーションとは異なる、ペープサート的な起源と原理に基づいて作られていることを示しています。このペープサートの原理は、その後のゲーム絵やフラッシュアニメなどにも共通しており、ペープサートは日本アニメーションの原点として重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

参考文献

ペープサートに関する研究や実践に関する書籍も出版されており、さらに深く学ぶことができます。

村上幸雄『手軽に上演できる人形劇とペープサート脚本集』黎明書房、1988年 ISBN 4654051201
阿部恵『ザ・ペープサート』フレーベル館、1994年 ISBN 457780171X

関連事項

ペープサートに関連する表現方法や文化は、他の分野にも影響を与えています。

人形劇
パネルシアター
* モノノケダンス - 電気グルーヴの楽曲で、PVにペープサートの手法が用いられています。

ペープサートは、子ども向けの教育現場だけでなく、芸術表現の分野においても重要な役割を果たしています。そのルーツを辿ることで、日本のアニメーション文化の原点を理解することができるでしょう。

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