パノス・LMP-1 ロードスターS

パノス・LMP-1ロードスターS/LMP01 Evo：フロントミッドシップレイアウトの異端児

[パノス]]・LMP-1ロードスターS（時折パノス・LMP-1とも呼ばれる）は、パノスが1999年に製造したル・マン・プロトタイプです。同社のGTカー、パノス・エスペランテGTR-1の後継車として、国際的なグランドツーリングカテゴリーでの活躍を経て誕生しました。当初は2001年のアメリカン・ル・マン・シリーズ]やル・マン24時間レースを主戦場としていましたが、後継車である[[パノス・LMP07の開発が頓挫したため、改良型のLMP-1ロードスターS、通称LMP01 Evoへと進化し、2003年末にその歴史に幕を閉じました。

独自のフロントミッドシップレイアウト

LMP-1ロードスターS最大の特徴は、エンジン搭載位置です。一般的なル・マン・プロトタイプがリアミッドシップレイアウトを採用する中、本車はフロントミッドシップレイアウトを採用。この異例のレイアウトにより、ライバル車とは一線を画す独特の車体デザインを実現しました。

開発背景と設計

1998年末、FIA GT選手権とUSRRCにおけるGT1クラスが廃止。これにより、パノス・エスペランテGTR-1を始めとするGT1マシンは、ル・マン・プロトタイプへの変更を余儀なくされました。パノスは、新たなル・マン・プロトタイプが、当時設立されたばかりのALMSにおいて、アウディやBMWといった強豪と互角に戦うことができると判断。レイナード・モータースポーツの協力を得て、LMP-1ロードスターSの開発に着手しました。

LMP-1ロードスターSは、エスペランテGTR-1のフロントエンジン・後輪駆動のレイアウトと多くのスタイリング要素を受け継いでいます。フロントエンジンレイアウトはGTカーでは一般的でしたが、プロトタイプカーでは非常に珍しいものでした。パノスは、このレイアウトを維持することに強いこだわりを示しました。

設計面では、エスペランテGTR-1との共通点が多く見られます。ほぼ同じフロントエンドを持ち、エンジンを収める丸みを帯びたノーズ、狭いフェンダーなど、共通の特徴が確認できます。NACAダクトはエンジンのエアインテークに、フロントサスペンションを覆う深い溝はラジエーターに繋がっています。車体の側面には様々な角度が施され、空気の流れを最適化。コックピットはコンパクトで、ロールフープがドライバーの直後まで伸びています。リアオーバーハングは短く、リアウィングストラットはリアディフューザーに取り付けられています。エンジンは、エラン・パワープロダクツ製6.0L V8（フォードブランド名の場合もあった）とエクストラック製6速シーケンシャルギアボックスが搭載されました。

LMP01 Evoへの進化

当初の計画では、後継車であるLMP07がALMSを戦う予定でしたが、開発上の問題で期待通りの性能を発揮することができませんでした。そこで、パノスはLMP-1ロードスターSをベースに、アウディR8に対抗できるようアップグレードを施すことを決定。この改良型マシンが、LMP01 Evoです。

変更点は主にフロントセクションに集中しています。フェンダーとセンターノーズを狭くし、ノーズ形状を丸型からよりシャープなものに変更。ブレーキ冷却ダクトも大型化されました。サイドの排気口も拡大され、リアボディワークも拡張されてリアウィングマウントを覆うようになりました。これらの改良により、空力性能の向上が図られました。

レース戦績

LMP-1ロードスターSは1999年、ALMS第2戦でデビュー。ビステオンをタイトルスポンサーに迎え、シーズンを通して活躍しました。デビュー戦では5位入賞を果たし、その後もALMSやル・マン24時間レースで好成績を残します。2000年には、スポーツカー・レーシング・ワールド・カップにも参戦し、ニュルブルクリンク1000kmで優勝するなど、活躍を続けました。2001年には、LMP07と併用しながらALMSに参戦。LMP07の開発難航により再びLMP-1ロードスターSが主力となり、再び好成績を収めました。

2002年には、LMP01 Evoがデビュー。ALMSで勝利を収めるものの、ル・マン24時間レースではリタイヤ。2003年にはJMLチームがファクトリーサポートを受けながらALMSに参戦を継続しましたが、ライバル勢との性能差が目立つようになり、シーズン終了後に引退しました。

シャーシ一覧

1999年から2002年にかけて、合計8台のLMP-1ロードスターSとLMP01 Evoが製造されました。各シャーシは複数のチームによって運用され、それぞれのマシンがALMSやル・マン24時間レースの歴史に名を刻みました。それぞれのシャーシの遍歴は、関連資料を参照ください。

パノス・LMP-1ロードスターS/LMP01 Evoは、フロントミッドシップという大胆なレイアウトと、その後の改良によってALMSを盛り上げ、ル・マン24時間レースに参戦した、記憶に残るマシンと言えるでしょう。その挑戦的な姿勢は、多くのレーシングファンに強い印象を残しました。

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