パラッツォ・ファルネーゼ

パラッツォ・ファルネーゼ、またはファルネーゼ宮は、ローマにおける盛期ルネサンス建築の代表例として知られています。1530年から1546年にかけて建設されたこの宮殿は、現在ではイタリアにあるフランス大使館として使用されています。

歴史

建築史家バニスター・フレッチャー卿が「16世紀のイタリア建築において最も壮大で素晴らしい建築である」と評したパラッツォ・ファルネーゼは、その建設に多くの巨匠が携わりました。当初、サン・ピエトロ大聖堂の建設にも関わった建築家アントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョヴァネによって設計されました。1515年、枢機卿アレッサンドロ・ファルネーゼの命により建設が開始されましたが、1527年のローマ略奪により一時中断を余儀なくされました。アレッサンドロ・ファルネーゼは妹ジューリアが教皇アレクサンデル6世の愛人であった縁から1493年に枢機卿に任命され、その権勢を背景に宮殿の建設を進めました。

1534年1月、ファルネーゼが教皇パウルス3世に即位すると、宮殿は新たな段階に入ります。パウルス3世はミケランジェロを雇い、3階部分のコーニス完成と中庭のデザイン変更を指示し、ファルネーゼ家の権威を示す壮大な宮殿を造らせました。その厳格なファサードは、前面に広がる広場からも際立つ存在感を放っています。特に目を引くのは、ピアノ・ノービレ（主階）の窓上部にある互い違いのデザインが並ぶペディメント、飾り気のない中央玄関、そしてミケランジェロが手掛けたコーニスです。

中央の窓は、ファルネーゼが教皇になった際に変更されました。そこには、ローマ帝国時代の中で最大のものを支えるためのアーキトレーブが加えられた教皇冠の紋章が飾られています。この変更は、教皇としてのファルネーゼの権威を象徴的に示すものでした。パラッツォは1534年と1541年に再設計され、当初の設計者であるサンガッロが1546年に亡くなった後は、ミケランジェロの指示の下で修正が行われ、その姿を完成させました。

パラッツォ・ファルネーゼは、その壮大さと歴史的意義から、ルネサンス建築の傑作として世界中の人々に愛され続けています。現在ではフランス大使館として利用されていますが、その歴史的価値と芸術的魅力は今もなお失われることなく、訪れる人々を魅了し続けています。

関連項目

パラッツォ

脚注

参照
Murray, Peter (1963). The Architecture of the Italian Renaissance. Schocken Books, New York. pp. 158–164

外部リンク

Romeartlover site with 1765 print by Giuseppi Vasi
Romeartlover entry for Farnese
Satellite photo- The Palazzo Farnese is the massive, almost square, court-yarded structure in the center of the photo, to the North of the Tiber. The smaller bracket-shaped building southwest (lower) across the Tiber is the Villa Farnesina.
* Farnese Palace

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