パルタマスパテス

パルタマスパテス（在位:116年）は、アルサケス朝パルティアの王として知られています。彼は、パルティア西部を支配していたオスロエス1世の息子として生まれました。

116年、ローマ皇帝トラヤヌスはパルティアに侵攻し、その首都クテシフォンを占領するなどの大勝利を収めました。この混乱に乗じて、パルタマスパテスはトラヤヌスの下へ赴き、彼の手によってパルティア王に擁立されることとなります。

しかし、パルタマスパテスの王としての地位は長くは続きませんでした。トラヤヌスが死去し、ハドリアヌスがローマ皇帝に即位すると、状況は一変します。ハドリアヌスは、トラヤヌスが征服したバビロニアなどの地域を放棄する決定を下しました。これにより、パルタマスパテスは後ろ盾を失い、国内での支持を自力で得ることができず、王位を喪失してローマ領へと逃れることとなったのです。

ローマ領へ逃れたパルタマスパテスは、パルティアの国境地帯に位置するローマの従属王国、オスロエネの王位をローマによって保障され、そこで生涯を終えました。パルティア王としては短命に終わりましたが、その後オスロエネの王として一定の地位を保ったことは、彼の複雑な生涯を物語っています。彼の人生は、ローマ帝国の影響下にあったパルティアの政治情勢を反映しており、当時の国際関係を理解する上で重要な人物の一人と言えるでしょう。

パルタマスパテスの生涯は、大国間の政治的駆け引きと、それに翻弄される王の姿を鮮やかに描き出しています。彼の存在は、古代オリエント世界の複雑な勢力図を理解する上で、貴重な事例を提供してくれるでしょう。

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