パレスホテル立川

パレスホテル立川

パレスホテル立川は、東京都立川市の都市再生エリア「ファーレ立川」内に、かつて存在したホテルです。東京・丸の内に拠点を置くパレスホテルチェーンの一施設として、パレスエンタープライズにより運営されていましたが、2023年12月31日をもってその歴史に幕を下ろしました。

設立の経緯

ホテルの開業は1994年（平成6年）10月13日に遡ります。その契機となったのは、立川駅北口に広がる約5.9ヘクタールの旧米軍立川基地跡地における、大規模な市街地再開発計画「ファーレ立川」です。この計画は、当時の鈴木俊一東京都知事が主導し、住宅・都市整備公団（現在の都市再生機構）が施行する、官民一体のプロジェクトでした。デパート、オフィスビル、公共施設、そしてホテルなどによって構成される街区を整備するというもので、地域経済活性化の核となることが期待されていました。

1988年（昭和63年）、この再開発事業への参画を検討していた日本生命保険が、ホテル参画についてパレスホテルに共同での事業実施を打診しました。パレスホテルは、既に大宮ソニックシティ開発で日本生命との共同事業における実績があったことから、この立川での新たなプロジェクトへの参画を決定しました。

ホテル開業にあたり、パレスホテルは建物賃貸借契約に基づきホテル経営を担う運営会社として「アクシス開発」を設立しました。これにより、パレスホテルチェーンとしては6番目の施設としてパレスホテル立川は誕生しました。その後、アクシス開発は清算され、パレスホテル大宮などを運営するパレスエンタープライズがホテルの経営を引き継ぐこととなりました。

施設概要

建物は地上12階、地下2階建ての規模を誇りました。総客室数は238室。館内には、多様なニーズに応える6ヶ所のレストラン・バーに加え、大小合わせて13室の宴会場を備えていました。会議や婚礼、各種イベントに利用できるこれらの施設は、立川地域における重要なMICE（Meeting, Incentive, Convention, Exhibition）機能の一翼を担っていました。その他、美容室や売店などの付帯施設も完備され、宿泊客や地域住民にとって利便性の高い複合施設としての顔も持っていました。

営業終了と再生計画

長年にわたり地域に親しまれたパレスホテル立川ですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による宿泊・宴会需要の落ち込みに加え、施設の老朽化が進行し、その維持・更新に多額の設備投資が不可避となったことから、2023年末での営業終了という苦渋の決断が下されました。

営業終了に先行して、2023年7月には三菱地所レジデンスが敷地と建物を取得し、跡地にマンションを建設するとの報道もありましたが、その後の状況は変化しました。2024年（令和6年）4月、立川市に本社を置く不動産開発会社、立飛ホールディングスが旧ホテルの土地と建物を取得したことが明らかになりました。

立飛ホールディングスの村山正道社長は読売新聞の取材に対し、立川地域では大規模な会合を開催できる宴会場の需要が依然として高いことを指摘。「これからも立川で大きな会合を開催できるバンケットルーム（宴会場）が求められている」との認識を示しました。同社は、既存建物を解体せず改修し、宴会場機能を核としたホテルとして再生させる方針を表明しています。2026年（令和8年）を目途に新たなホテルとして再出発する計画が進められています。一方、かつて取得を報じられた三菱地所レジデンスは、立飛ホールディングスへの売却理由については「個別の事案なので回答は控えたい」としてコメントを差し控えています。

アクセス

鉄道利用の場合、JR立川駅から徒歩約3分、多摩都市モノレール線の立川北駅からは徒歩約2分という、非常に利便性の高い立地にありました。車でのアクセスでは、中央自動車道国立府中インターチェンジから約30分です。また、ホテル前には高速バスの停留所が設置されており、成田国際空港や東京国際空港（羽田）、さらには京都、大阪、神戸といった関西方面へのアクセスも可能でした。

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