パレンバンLRT

パレンバンLRT

パレンバンLRTは、インドネシアのスマトラ島に位置するパレンバン市内を走るライトレールです。2018年に開業したこの路線は、インドネシアで初めて小規格の鉄道車両を用いたライトレールであり、市民の重要な交通手段となっています。現在、インドネシア鉄道会社が運営を行っています。

概要と歴史

パレンバンは、南スマトラ州の州都であり、長年、自動車のみが公共交通機関として利用されていました。そのため、深刻な交通渋滞が問題となっていました。この状況を改善するため、南スマトラ州政府はモノレールの建設を計画しましたが、輸送力や安全性の観点から、2015年にライトレールへと計画が変更されました。

このライトレール計画は、渋滞緩和だけでなく、2018年に開催されたアジア競技大会への観客輸送も目的としていました。2015年から建設工事が開始され、当初は2018年5月の営業運転開始を目指していましたが、遅延が発生。同年6月に開業準備が完了し、8月1日にスルタン・ムハンマド・バダルディン2世国際空港とパレンバン中心部を結ぶ23kmの区間で本格的な営業運転が始まりました。

開業当初は、信号や車両の故障が相次ぎ、工事の遅れもあって、同年9月時点で営業運転を行っていたのは7駅のみでした。しかし、2019年5月までに駅を含む全工事が完了し、利用客も増加傾向に転じました。2020年7月までの利用者数は480万人を記録しています。ただし、同年度は新型コロナウイルス感染症の影響で利用客が大幅に減少しています。

運行

2020年現在、パレンバンLRTは、スルタン・ムハンマド・バダルディン2世国際空港から中心部へと向かい、パレンバンを東西に結ぶ全長23.4kmの路線を運行しています。2020年1月時点で、全列車が13駅すべてに停車するダイヤで運行しており、所要時間は47分です。

運賃は利用駅によって異なり、空港駅（Bandara）から乗降する場合は10,000ルピア、それ以外の駅は5,000ルピアとなっています。

駅一覧

太字の6駅は、開業当初から営業運転が行われていた駅です。

Bandara（空港駅）
DJKA
Punti Kayu
Dishub
Bumi Sriwijaya
Palembang Icon
Demang
Cinde
Ampera
Polresta
Gubernur
Opi
Jakabaring

車両

パレンバンLRTで使用されている車両は、インドネシアの鉄道車両メーカーであるインダストリ・クレタ・アピが製造した3両編成の電車です。編成は、主電動機と運転室を備えた電動制御車（Mc）と、これらの機器を持たない中間付随車（T）で構成されています。軽量化のため、ステンレス鋼製の車体とアルミニウム製の車体が採用されています。また、猛暑対策として、冷房の他に直射日光や紫外線を抑制する安全ガラスが側面窓に使用されています。

詳細な諸元は以下の通りです。

編成: 3両編成 (Mc-T-Mc)
全長: 約66m
車体: ステンレス鋼とアルミニウム合金
最高速度: 80km/h
電源: 直流750V
座席: ロングシート
その他: 冷房、安全ガラス採用

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