パロマー天文台

パロマー天文台：天文学の金字塔

カリフォルニア州サンディエゴ近郊のパロマー山山頂に位置するパロマー天文台は、世界有数の天文観測施設として知られています。カリフォルニア工科大学が運営するこの天文台は、1948年のヘール望遠鏡完成以降、数々の重要な天文学的発見に貢献してきました。

ヘール望遠鏡：巨人の目

パロマー天文台の象徴であるヘール望遠鏡は、口径5.08メートルを誇る巨大な反射望遠鏡です。天文学者ジョージ・ヘールの名を冠したこの望遠鏡は、ロックフェラー財団からの巨額な資金提供を受けて建設され、当時世界最大級の望遠鏡として天文学の世界に衝撃を与えました。高品質のパイレックス製鏡面は、コーニング・グラス・ワークス社によって製造されました。完成後すぐにエドウィン・ハッブルを始めとする多くの天文学者によって使用され、多くの小惑星の発見にも貢献しています。現在もカリフォルニア工科大学、ジェット推進研究所、コーネル大学の共同運営によって維持・運用されており、その活動は現代天文学においても重要な位置を占めています。

パロマー天文台スカイサーベイ：宇宙の全貌を写し取る

1950年代に実施されたパロマー天文台スカイサーベイ(POSS)は、歴史的な大規模な宇宙観測プロジェクトです。ナショナルジオグラフィック協会の支援を受けて行われたこのサーベイでは、48インチのシュミット式望遠鏡を用いて、広大な範囲の宇宙を撮影しました。その成果は、膨大な数の天体写真乾板として残されており、後の天文学研究に大きな影響を与えました。POSSは、その後の2ミクロンオールスカイサーベイ(2MASS)やスローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)といった大規模サーベイの礎となり、現代のデジタルデータ形式でもアクセス可能になっています。

現代における研究活動：宇宙の謎に挑む

パロマー天文台は現在も活発な研究活動を行っています。地球近傍[[小惑星]]追跡プログラム(NEAT)や、多数のカイパーベルト天体の発見にも貢献したQUEST変光サーベイなど、数々のプロジェクトが進行中です。特に、112個のモザイクCCDを備えた最新鋭のカメラシステムは、広い視野と高い感度を誇り、ガンマ線バーストの観測や超新星を用いた宇宙膨張の研究など、最先端の研究を支えています。

パロマー天文台の未来

2007年には山火事による一時閉鎖を経験しましたが、その後再開され、現在もその活動を続けています。世界中の天文学者にとって重要な研究拠点であり続けるパロマー天文台は、これからも宇宙の謎解明に貢献していくでしょう。

参考文献

Ronald Florence, The Perfect Machine: Building the Palomar Telescope
D・O・ウッドベリー, パロマーの巨人望遠鏡（上・下）
リチャード・プレストン, ビッグ・アイ*

もう一度検索