パンチェヴォ

パンチェヴォ：歴史と文化が交差するセルビアの都市

パンチェヴォ（セルビア語: Панчево / Pančevo）は、セルビア北部、ヴォイヴォディナ自治州に位置する都市です。ベオグラードの北東約15kmに位置し、南バナト郡の行政中心地として機能しています。市内を流れるティミシュ川（タミシュ川）は重要な川港を有し、水運の要所となっています。

多様な言語で呼ばれる都市

パンチェヴォは、その歴史的背景から、セルビア語以外にも様々な言語で異なった名前を持っています。ハンガリー語では「Pancsova」、トルコ語では「Pançova」、ドイツ語では「Pantschowa」、ルーマニア語では「Panciova」、スロバキア語では「Pánčevo」と呼ばれています。

歴史

パンチェヴォの歴史は古く、12世紀には記録に登場します。16世紀まではハンガリー王国に属していましたが、その後オスマン帝国の支配下に入りました。オスマン帝国統治時代には、テメシュヴァル県の一部となり、セルビア人が多く居住していました。1716年からはハプスブルク君主国の支配下に入り、テメシュヴァルのバナト県に含まれました。1751年に県の北部が民政下に入った後も、南部（パンチェヴォを含む）は軍政国境地帯として残りました。

18世紀には、セルビア人とドイツ人の自治体がそれぞれ存在していましたが、1794年に合同しました。1848年から1849年にかけては、セルビア人州スルプスカ・ヴォイヴォディナの一部となりましたが、その後軍事境界線に戻りました。1873年にバナトの軍事境界線が廃止され、トロンタール県に編入されました。1910年の調査によると、セルビア語、ドイツ語、ハンガリー語を話す人々が居住していました。

第一次世界大戦後、1918年からはセルブ・クロアート・スロヴェーヌ王国（後のユーゴスラビア王国）の一部となりました。第二次世界大戦中、1941年から1944年までは枢軸国に占領され、ドイツ占領下のセルビアに含まれるバナト州の一部となりました。1999年には、NATO軍による空爆の被害を受けています。

基礎自治体

パンチェヴォ基礎自治体には、パンチェヴォ市の他に、カチャレヴォとスタルチェヴォの町が含まれています。また、バナツキ・ブレストヴァツ、バナツコ・ノヴォ・セロ、グロゴニ、ドロヴォ、イヴァノヴォ、ヤブカ、オモリツァなどの村も含まれています。市内は、ツェンタル、マルギタ、ヴォイロヴィツァ、トポラ、ストレリシュテ、テスラ、ミサ・ヴィノグラディ、コテジュ、ウトヴィナ・コロニヤなどの区画に分かれています。

民族構成

基礎自治体内の定住地のほとんどでセルビア人が多数派を占めていますが、イヴァノヴォではハンガリー人が多数派を占めていました。近年、パンチェヴォ北部では中国人コミュニティが成長しています。

文化

パンチェヴォには、国内最古の修道院の一つであるヴォイロヴィツァ修道院があります。また、国際的なデジタル・アートの催しであるアートテックなど、多くの文化的行事が開催されています。

経済

パンチェヴォは、セルビア石油産業（NIS）の主力製油所を中心に工業地帯が形成されており、石油化学、化学肥料製造、機械部品製造、飛行機産業が盛んです。強力な工業の土台を持っています。

出身者

ネマニャ・ダングビッチ - バスケットボール選手
ネマニャ・アントノヴ - サッカー選手

姉妹都市

ブローニュ＝ビヤンクール（フランス）
ネアポリス（ギリシャ）
プリイェドル（ボスニア・ヘルツェゴビナ）
レシツァ（ルーマニア）
* ザーンスタット（オランダ）

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