プリイェドル

プリイェドル：多様な文化と歴史が息づくボスニア・ヘルツェゴビナの都市

プリイェドルは、ボスニア・ヘルツェゴビナ北西部に位置する都市で、スルプスカ共和国に属しています。サナ川とゴムイェニツァ川の合流地点に位置し、豊かな自然に囲まれた美しい景観が特徴です。戦略的な地理的条件から、経済的にも重要な役割を果たしており、近年は観光地としても注目を集めています。

地理と自然

プリイェドルは、ボサンスカ・クライナ地方に位置し、コザラ山の麓に広がっています。北東部に向かって標高が高くなる地形であり、サナ川が形成した沖積層が肥沃な土地を育んでいます。自然豊かな環境は、農業や観光業に恵みをもたらしています。

歴史

プリイェドルの歴史は古く、先史時代から人々が居住していました。ローマ時代には、イリュリア人やパンノニア人が鉱業で栄え、リュビヤにはローマ時代の鉄製品の遺跡が残っています。オスマン帝国時代には、国境の要塞として重要な役割を果たし、オーストリア帝国との間で激しい戦いが繰り広げられました。

オスマン・オーストリア時代

1693年から1696年にかけての戦いで、プリイェドルは初めて文献に登場します。当時の記録には、「パランカ・プラエドル」と呼ばれる要塞の居住地が焼失したことが記されています。「パランカ」とは、サナ川に作られた人工の島に築かれた木製の要塞を意味し、プリイェドルの地名の由来には、この要塞にまつわる説があります。

19世紀以降

1873年には、ドブルリィナからバニャ・ルカに至る鉄道が開通し、プリイェドルの発展を後押ししました。1882年には大火に見舞われましたが、その後、都市計画に基づいて近代的な街並みが整備されました。第一次世界大戦後には、ユーゴスラビア王国の一部となり、鉄鉱石の採掘によって経済が発展しました。

第二次世界大戦とボスニア・ヘルツェゴビナ紛争

第二次世界大戦中、プリイェドル周辺では多くの市民が犠牲となりました。また、1992年から1995年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中には、プリイェドル近郊に強制収容所が設けられ、多くのボシュニャク人やクロアチア人が収容されました。紛争後、プリイェドルでは民族間の和解に向けた取り組みが進められています。

人口構成

1991年の人口調査では、プリイェドル市街の人口は約34,635人で、セルビア人とボシュニャク人がほぼ同数でした。しかし、紛争の影響で人口構成は大きく変化し、2006年現在ではセルビア人が多数を占めています。近年は、ボシュニャク人の帰還も進み、人口も増加傾向にあります。

教育

プリイェドルには、19世紀前半に設立されたセルビア系の小学校を始め、多くの教育機関があります。プリイェドルギムナジウムは、地域を代表する名門校として知られています。近年は、大学やカレッジの設立も進み、高等教育の機会も充実しています。

経済

プリイェドルは、ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるサービス産業と工業の中心地です。鉄鋼、化学、食品加工などの分野で多くの企業が拠点を構えています。また、農業も盛んで、果物や野菜、畜産物が生産されています。地理的な優位性や教育水準の高さから、今後ますますの経済発展が期待されています。

交通

プリイェドルは、ザグレブ - サラエヴォ - プロチェを結ぶ鉄道路線上に位置しています。また、バニャ・ルカやザグレブとを結ぶ高速道路の建設計画もあり、交通の便はさらに向上する見込みです。市内には路線バスも運行しており、市民の足となっています。

文化とスポーツ

プリイェドルには、博物館、ギャラリー、図書館、映画館、劇場など、様々な文化施設があります。コザラ博物館は、地域の歴史や文化を紹介する重要な施設です。スポーツも盛んで、サッカー、バスケットボール、ハンドボールなどのクラブチームが活躍しています。

宗教施設

プリイェドルは、カトリック教会、正教教会、モスクなど、多様な宗教施設が共存する都市です。ツァルシイスカ・ザミヤは、1750年に建てられた歴史的なモスクで、図書館や学校も併設されています。

プリイェドルは、豊かな自然、多様な文化、そして複雑な歴史を持つ魅力的な都市です。紛争の傷跡を乗り越え、新たな発展を目指すプリイェドルの今後に注目が集まっています。

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