パンツァーヴェルファー

パンツァーヴェルファー（Panzerwerfer）

パンツァーヴェルファーは、第二次世界大戦期にドイツで開発された自走式ロケット砲であり、その登場は軍の戦力強化の一端を担いました。この装甲自走砲は、ネーベルヴェルファーという多連装ロケット砲を搭載し、主に不整地での機動性を考慮して設計されています。ベースとなったのはオペル製のマウルティアであり、半装軌式の装甲車両として2種類のバリエーションが存在しました。

開発の背景

第二次世界大戦中盤以降、ドイツ軍は様々な戦術に対応するため、高機動且つ火力を持つ車両の開発を進めていました。その中で、1943年にはオペル製マウルティアに装甲を施し、15cmロケット砲を搭載する自走砲の開発が開始されました。当時、連合国の攻撃が激化していたため、自走式のメリットが強く求められました。従来の牽引式ロケット砲は、発射時の煙や炎により発射位置が判明しやすく、敵の射撃目標になりやすいという欠点がありました。そのため、迅速に陣地を変更できる自走解決が望まれたのです。

構造と性能

パンツァーヴェルファーは、上面を含む全周に8mmの装甲が施され、運転室よりも少し低い後部には弾薬スペースが設けられました。その上には270度旋回可能なロケットランチャーが設置されていました。発射装置は従来の6連装から、5発ずつ2段に配置される10連装に改良されており、より多くの火力を一度に発揮できるようになりました。同型車両は「15cm42式装甲ロケット砲自走砲」として正式な名称が与えられました。

また、この自走砲に関連して、弾薬運搬専用の車両も開発されました。これは従来の牽引式ロケット砲の補助的な役割だけでなく、弾薬の輸送にも利用されるようになりました。パンツァーヴェルファーの生産は、1943年4月から始まり、1944年3月にかけて300両が製造されました。

競合と派生タイプ

パンツァーヴェルファーには、ソ連のカチューシャを模した8cmロケットランチャーを搭載したモデルも存在しました。このタイプは、48発を一斉に発射できる広域散布が可能な武器として注目を浴びましたが、ヒトラーの承認が得られなかったため、大規模な生産には至りませんでした。推測されるところでは、特にSS部隊向けに幾つかの特製車両が製造されたとされています。

一方、1944年には重国防軍牽引車（sWS）を基にした新型パンツァーヴェルファーも開発されました。この新しいモデルは、不整地での走行性能が向上し、搭載する弾薬の量も増やすことができました。大戦末期の生産だったため、具体的な生産数は明確ではありません。

ゲームへの登場

パンツァーヴェルファーは多くの戦争ゲームでも再現されています。たとえば、ゲーム『War Thunder』や『Enlisted』、また『トータル・タンク・シミュレーター』では、その存在を確認することができます。これらの作品では、ドイツの自走ロケット砲として強力な武器として位置づけられています。

パンツァーヴェルファーは、ただの武器に留まらず、第二次世界大戦における技術革新の象徴とも言える存在です。戦場の激変に対応するため、装甲と火力を兼ね備えたこの自走砲は、戦争の様相を変える重要な要素となりました。

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