パンドラの恋人

南野陽子さんの8枚目のシングル「パンドラの恋人」は、1987年7月1日、CBS・ソニーよりリリースされました。この曲は、彼女にとって「楽園のDoor」「話しかけたかった」に続く3作連続のオリコン1位獲得という快挙を達成しました。

リリースに際しては、異なるジャケット写真が特徴的な2つのバージョンが用意されました。一つは、下敷きを模したデザインの限定盤、もう一つは通常盤です。通常盤は限定盤より10日遅れて、7月10日に発売されました。

興味深いことに、「パンドラの恋人」は当初、真冬の情景を描いた歌詞で制作されていました。しかし、リリース時期が夏であったため、歌詞は夏の情景を表現したものに書き換えられ、真夏の恋物語として生まれ変わりました。この変更は、楽曲の雰囲気を一変させ、夏の陽気さと切なさを融合した、独特のムードを作り出しています。

この楽曲は、ソニーが1987年に制作した試聴用非売品CD『SONY ORIGINAL DEMONSTRATION DISC REBECCA in Liberty』（規格品番：YEDS-35）にも収録されています。このCDは、当時のソニーの音楽プロモーションの一環として制作されたものであり、「パンドラの恋人」がいかに高く評価されていたかを示す証拠と言えるでしょう。

楽曲の制作陣は、作曲に亀井登志夫さん、編曲に萩田光雄さんと、当時第一線で活躍していた実力派の面々が参加。作詞は、A面が田口俊さん、B面「ひとりっきりの夏は」は小倉めぐみさんが担当しました。それぞれの作詞家の個性が融合し、楽曲に深みと奥行きを与えています。

「パンドラの恋人」は、南野陽子さんの代表曲の一つとして、現在も多くのファンに愛され続けています。夏の暑さや、恋の甘酸っぱさ、そして切なさが絶妙に混ざり合ったこの曲は、聴く人の心に夏の思い出を呼び起こす力を持っています。また、この曲が収録されたベストアルバム『GOLDEN☆BEST 南野陽子 ナンノ・シングルズ3 + マイ・フェイバリット』も高い人気を誇り、彼女の幅広い音楽性を示す作品として評価されています。

「パンドラの恋人」は、単なるヒット曲ではなく、時代の流れや制作過程の苦労、そしてアーティストの才能が凝縮された、まさに珠玉の一曲と言えるでしょう。楽曲の背景を知ることで、その魅力をより深く理解し、新たな感動を得ることができるはずです。

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