パンニング (音響)

パンニングとは

パンニング（英: panning）とは、音における定位を調整する技術またはその機能を指します。特に、ステレオやサラウンドなどの多チャンネルオーディオシステムにおいて用いられ、音像を主に水平方向に変化させる手法です。パンニングという名称は、パノラマ（英: panorama）から派生していることが特徴です。

音像の位置づけ

このテクニックでは、異なるスピーカー間の音量差を用いて音の位置を認識させます。たとえば、ステレオ環境では左右のスピーカーの間に音が定位し、聴取者はリアルな空間感を得ることができます。この現象は「ファントム」と呼ばれ、実際には存在しない音をスピーカー間に感じることが可能です。パンニングは、こうしたファントム音像の感覚を利用したサウンドデザインの一部となります。

パンポットの概要

多くのミキシング・コンソールには、パンニング機能を操作するための「パンポット（英: pan pot）」が搭載されています。典型的には、円形の回転ノブで構成され、フェーダーとともに配置されることが一般的です。この名前は、アナログミキサーに用いられるポテンショメータからきており、音量の差を調整するための機能を指します。アナログのパンポットには、左右の音量差を変えるための2連ポテンショメータが使用されており、デジタル時代に入っても同様の処理が行われていますが、可変抵抗器は使用されていません。

パンロウの特性

パンポットには異なる抵抗特性カーブがあり、これらの組み合わせの法則を「パンロウ（英: pan law）」と呼びます。主に現代的なパンロウには、線形特性、平方根カーブ特性、正弦波および余弦波ペアの特性が存在します。たとえば、線形特性では中央での減衰が約-6dBという特性があり、対して平方根カーブの場合は-3dBの減衰を示します。それぞれの特性に応じた特徴を持つため、使用する音楽のジャンルや目的により選択されることが多いです。

バランスコントロール

バランスコントロール（英: balance control）とは、音声信号を元のチャンネル構成で保ちながら、左右の音量に差をつける機能です。これに対し、狭義のパンポットはモノラル入力に対して定位を与える役割を果たします。バランスコントロールは音量差を与えるだけで、片方のチャンネルの音をもう一方にも「持っていく」ことはしません。また、特定の特性カーブであるMN型も存在し、特に中央において信号減衰がないことが特徴的です。

オートパン

音声を自動的に繰り返し左右に振る特徴的な効果をオートパン（英: auto pan）と呼びます。これにより、より動的で効果的な音環境が作り出され、音楽や映像において聴取者の注意を引く手段として併用されます。

音響技術の進化の中で、パンニングや各種コントロール技術は、サウンドデザインの重要な要素として広く利用されており、様々なメディアにおいてその効果を見つけることができます。

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