パンピー食品

パンピー食品株式会社：明治グループを支えた食品メーカーの軌跡

パンピー食品株式会社は、東京都小平市に本社と工場を置いていた、明治グループ傘下の食品製造会社でした。かつては国民的人気を博した乳酸菌飲料「パンピー」で広く知られていましたが、2021年には会社清算を終えています。本稿では、パンピー食品の設立から閉鎖までの歴史、主力製品、そして明治グループとの関係性について詳細に解説します。

明治グループとの深いつながり

パンピー食品は、2020年3月31日時点では明治が100%出資する完全子会社でした。明治グループの一員として、主に明治ブランドのチルドデザート、すなわち冷蔵デザートの製造を担っていました。かつてはカルピス株式会社とも関連会社としてつながっていましたが、2007年に株式売却によってその関係は解消されています。

社名とブランド名である「パンピー」は、「パントテン酸」と「ビタミンP」を組み合わせた造語です。これらの成分は、当初の製品である「パンピー」飲料に含まれていたと考えられます。

始まりから閉鎖まで：激動の企業史

パンピー食品は1956年8月27日、明治乳業、カルピス食品工業（当時）、そしてカルピスの創業者である三島海雲氏らの共同出資により「ピルマン製造」として設立されました。当初は「ピルマン」というヨーグルトを製造していましたが、1960年には主力製品となる乳酸菌飲料「パンピー」を発売します。

1964年には東京都小平市に工場を新設し、1968年には社名を「パンピー飲料製造」に変更、さらに1977年には「パンピー食品」と改称、本社を港区に移転しました。その後、日付不明ながら本社を小平工場内へ移転しています。

2006年には、小平工場がISO 14001を取得するなど環境への取り組みも強化していました。しかし、2012年には「明治ミルクプリン 超BIG 200g」の自主回収を行う事態に見舞われています。これは、原料のメープルソースに含まれる細菌の増殖が原因でした。

その後も、地域活動への参加や環境配慮への取り組みを続け、2017年には太陽光発電システムの導入計画を発表していました。しかし、2020年3月、小平工場の老朽化を理由に工場を閉鎖、解体、跡地にはフランスベッドの事業拠点が建設されることとなりました。そして2021年9月3日、会社清算手続が完了し、法人登記が閉鎖されました。

多様な製品群と「パンピー」ブランド

パンピー食品は、「パンピー」ブランドの乳酸菌飲料を中心に様々な製品を製造販売していました。

パンピーシリーズ

当初はガラス瓶入りの「パンピーオレンジ」や「パンピーメロン」、「パンピーりんご」などのフルーツ風味の乳酸菌飲料が主流でした。牛乳瓶入りの商品は、明治乳業の牛乳販売店などを中心に流通していました。後に紙パック入り商品も登場しました。特に「パンピーオレンジ」は、赤い太陽のようなマークが印象的な商品でした。復刻版も存在しました。

チルドデザート

「パンピー」ブランドの商品は最終的には製造中止となり、明治グループのチルドデザートの製造に特化しました。プリンやゼリーなど、様々な商品をmeijiブランドで製造していました。「パンピーババロア」も、高級感のある容器で販売されていた人気商品の一つでした。

他に「サムコホームメイドゼリー」や「旬のフルーツゼリー」、「ドトールコーヒーゼリー」なども製造していました。

類似商品との比較

「パンピー」は、明治乳業の「パイゲンC」、森永乳業の「森永マミー」、武田食品工業（現ハウスウェルネスフーズ）の「プラッシー」など、同時期に販売されていた乳酸菌飲料や果汁飲料と競合していました。これらの製品は、販売チャネルやターゲット層においてそれぞれ特徴がありました。

結論

パンピー食品は、明治グループの一員として、長年にわたって日本の食品業界に貢献してきました。その歴史は、時代の変化や消費者のニーズに対応しながら、常に進化を続けてきた証と言えるでしょう。しかし、時代の流れと共に閉鎖に至ったことは、企業経営の難しさを改めて感じさせる出来事でした。その歴史と製品は、日本の食文化の一端として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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