パヴェル・ベルマン

パーヴェル・ベルマン

ロシア生まれのヴァイオリニスト、パーヴェル・ベルマンは、1970年1月30日にモスクワで生を受けました。彼は、国際的に知られるピアニスト、ラザール・ベルマンと、同じくピアニストであるヴァレンティナ夫人の間に生まれ、音楽一家の中で育ちました。

幼少期と教育

ベルマンは5歳という幼い頃からヴァイオリンの手ほどきを受け始め、7歳で名門中の名門、モスクワ音楽院付属中央音楽学校に入学し、優れた才能を伸ばすための専門的な教育環境に身を置きました。この初期の集中した訓練が、後の輝かしいキャリアの礎となります。

コンクールでの成功

彼の才能は若い頃から国際舞台で認められ始めます。15歳を迎える頃には、ポーランドで開催されたヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールとリピンスキ国際コンクールで評価を獲得しました。さらに17歳時には、世界最高峰の一つとされるパガニーニ国際コンクールで第2位に輝き、その名を広く知らしめます。そして、1990年にはインディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールで栄えあるゴールド・メダルを受賞し、国際的なヴァイオリニストとしての地位を確固たるものとしました。

世界的な演奏活動

コンクールでの成功を機に、ベルマンの活動は世界へと広がります。1989年には、父であるラザール・ベルマンと共に日本を訪れ、親子でのデュオ演奏会を開催し、日本の聴衆にも深い感銘を与えました。1992年には、プラハの春音楽祭に父子で出演し、ブラームスのヴァイオリン協奏曲をスプラフォン・レーベルに録音、リリースしています。同年、彼は芸術の都ニューヨークへ渡り、ジュリアード音楽院で名教師ドロシー・ディレイに師事。また、アイザック・スターンといった巨匠との出会いも経験し、カーネギーホールでの演奏も実現させるなど、アメリカでも重要な経験を積みました。

指揮者としての顔

ヴァイオリニストとしての活動と並行して、ベルマンは指揮者としても活躍しています。1998年から2006年にかけては、リトアニアのカウナス・シンフォニーオーケストラの首席指揮者を務め、オーケストラを率いる経験を重ねました。さらに2008年から2009年にかけては、ソリストとして、あるいは指揮者として、リトアニア国立室内合奏団、モスクワ・ヴィルトゥオーゾ、モスクワシンフォニーオーケストラ、ルーマニア国立ラジオオーケストラ、ポルトガル国立シンフォニーオーケストラといった多数のオーケストラと精力的に共演し、その多才ぶりを発揮しています。

録音と使用楽器

録音活動も積極的に行っており、特に1991年には、父ラザール・ベルマンとの共演によるアルバムをオーディオフォン・レーベルから発表しました。この録音には、モーツァルト、プロコフィエフ、ベートーヴェン、ブラームスといった作曲家のヴァイオリン・ソナタが収録され、父子による貴重な音楽の記録となっています。現在、彼はイタリアのミラノにあるペーテルロンゴ財団より、アントニオ・ストラディヴァリが製作した貴重なヴァイオリンを貸与され、その類まれな音色を奏でています。

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