パーティカ経

パーティカ経（Pāthika-sutta）

『パーティカ経』とは、パーリ仏典の長部に収められている第24経であり、漢訳されると『波梨経』と呼ばれます。この経典は釈迦の教えが中心に据えられており、特に神通力や世界の起源に関する図解が含まれています。この経の主な登場人物として、釈迦やバガヴァ、そしてリッチャヴィ族の比丘スナカッタがいます。

構成と場面設定

本経が語られる背景には、釈迦がマッラ国のアヌピーに滞在している状況が描かれています。スナカッタは、優れた修行僧とされていましたが、最終的には仏教教団を離れ、還俗することを決意します。この決断に際し、釈迦は様々な例を挙げながらスナカッタを諭しようとしますが、彼は戒律を捨て去る結果となります。

内容の要点

本経のメインテーマは、神通と世界の起源に関連しています。スナカッタは、釈迦が自らの神通力を示さないことや、世界の起源について語らないことに不満を持っていたため、釈迦のもとを去ることになります。また、経中では、裸形行者コーラッカッティヤやカンダラマスカが、不幸な結末を迎える様子が描かれ、さらには神通力を誇る人物パーティカプッタが釈迦に挑戦して敗れるというエピソードも含まれています。

経の後半では、釈迦が世界の起源についてさまざまな見解を持っていることが示されていますが、誤りに陥ることを防ぐため、あえて言及しないという姿勢を取ります。この辺りの教えは、仏教における重要な位置を占めており、その根底には浄解脱へと導くための悟りへの思索があります。

特に、世界の起源に関しては、梵天創造説や遊蕩神創造説、害意神創造説、偶然説などが異教の伝承として扱われています。釈迦は、これらの内容に言及しないことで、信者が誤った見解に陥ることを防ぎ、純粋な教えに基づく浄解脱に至るための道を示しています。

日本語訳および参考文献

この経典に関する日本語訳としては、『南伝大蔵経・経蔵・長部経典3』（第8巻、出版：大蔵出版）や、『パーリ仏典 長部（ディーガニカーヤ） パーティカ篇I』（訳：片山一良、大蔵出版）、『原始仏典 長部経典3』（監修：中村元、春秋社）などがあります。

まとめ

『パーティカ経』は、私たちがどのように神通力や世界の創造に関する考え方に向き合うべきかを示唆する重要な経典です。釈迦の教えを通じて、私たちは正しい道を歩むための知恵を得ることができるのです。

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