パーポ明石

パーポ明石：落語家からバレエ界の異才へ

パーポ明石（本名：明石正之）は、1970年生まれのバレエダンサー、バレエ講師である。その経歴は、一般的なバレエダンサーとは大きく異なる。彼は、笑福亭松之助を父に持つ、落語家の家系に生まれた。兄は明石家のんき（旧名：笑福亭梅之助）。自身も1977年、笑福亭亀之助として落語家としての道を歩み始めた。明石家さんまとは、兄弟子弟の関係に当たる。

幼少期から小噺や日本舞踊の修行に励み、落語家として初舞台も踏んだが、その後、16歳から始めたバレエへの道を歩むことを選択し、落語家を廃業した。日舞の経験がバレエの基礎となり、その才能を開花させることとなる。

1994年にはロシアへ留学。帰国後、バレエダンサーとして数々の舞台に立つ傍ら、指導者としても後進の育成に力を注いでいる。アマチュア落語の講師としても活動するなど、その活動は多岐に渡る。

彼のバレエダンサーとしての技量は高く評価されている。特に、女性ダンサーを支え、持ち上げる「パートナーリング」においては、卓越した技術を持つとされている。また、役柄を瞬時に演じ分ける演技力も持ち味の一つだ。

多彩な才能と人柄

パーポ明石の才能はバレエのみに留まらない。ロシア留学での経験から、ロシア語は堪能であり、何故か中国語も操る。そのため、日本人ダンサーの海外留学ツアーでは通訳として同行することもある。逆に、海外からダンサーが来日した際も、通訳やホテル、スケジュールの管理を任されることも珍しくない。

さらに、舞台監督、音響、セット作製など、舞台裏方の仕事にも精通しており、そのマルチな才能は、舞台業界で広く知られている。これらの経験から、人脈も非常に広い。

彼の個性的な人柄も相まって、人々の記憶に残る人物像は様々である。「バレエの明石先生」から「あのおしゃべりなオジサン」まで、その印象は多様だ。そのユニークさが評価され、LINEスタンプも発売されている。

酒豪と温かい人情

パーポ明石はかなりの酒豪としても知られており、自宅には常にビール、焼酎、日本酒が常備されているという。好むお酒は、日本酒、特にクセのある、匂いの強いものが好みで、焼酎は芋焼酎を好むという。

明石家さんまとは、さんまが松之助の弟子として住み込んでいた際に親しくなり、現在も交流がある。パーポ明石が所属するバレエ教室の記念公演には、さんまから祝いのメッセージが送られたこともある。また、教室の公演「眠れる森の美女」では、パーポ明石が王子役、松之助夫妻が王と王妃役として親子三代共演が実現した。

バレエ講師としての魅力

バレエ講師としては、その説明の分かりやすさが特徴だ。冗談や例え話も交え、生徒にも理解しやすいように指導にあたる。生徒からは「冗談や例え話も交えて分かりやすく教えてくれる」「踊りがすごく格好よくて惚れそうになった」「バレエ界の渡辺謙」など、高い評価を得ている。

独特の理論に基づいた指導法は、「明石はこうする」と称されるほど独特なものだ。一人称も「僕」「オイラ」「おれ」「ワチキ」など、状況に応じて使い分ける。

意外な才能と温かい家庭

パーポ明石は、整体師の資格も取得しており、自宅には施術用のベッドも置いている。大人の初心者向けのバレエレッスンと並行して、生徒の体のメンテナンスも行っているが、予約の大半は整体を希望する人々だという。

幼少期から家族で日本キリスト改革派教会甲子園教会に通っており、クリスチャンであることも明かしている。

パーポ明石は、落語家としての経験、ロシア留学、そして多様な才能を活かし、バレエ界で独自の道を切り開いている稀有な存在である。彼の今後の活躍に期待したい。

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