パーミッシブ・ライセンス

パーミッシブ・ライセンスとは

パーミッシブ・ライセンス（permissive license）とは、ソフトウェアの再配布に関する制約が非常に少ないライセンス形態を指します。別名として「BSD風ライセンス」や「BSDスタイルライセンス」とも呼ばれます。このライセンスの最大の特徴は、ソースコードの改変や再配布の自由度が非常に高いことです。具体的には、ソフトウェアを利用する際に、ライセンス表示と著作権表示を遵守するだけで、ソースコードの公開義務がない点が挙げられます。

定義

オープンソース・イニシアティブ（OSI）は、パーミッシブ・ライセンスを「コピーレフトではないオープンソースライセンス」と定義しています。これは、コピーレフト・ライセンスのように、派生物のライセンスも同じライセンスにすることを強制しないという意味です。GitHubのウェブサイトchooselicenseでは、MITライセンスを「コピーライトとライセンスの標記を残すことだけを条件とする、シンプルで緩やかなライセンス」と説明しています。また、カリフォルニア・ウェスタン・スクール・オブ・ローのウェブサイトnewmediarights.comは、BSD、MIT、Apacheライセンスなどを「非常に緩やかで、オリジナルのライセンスされたソースコードの原作者の帰属情報の表示を求める」と解説しています。

コピーセンター

パーミッシブ・ライセンスは、コピーライト（著作権）とコピーレフト（自由）の中間に位置する概念として「コピーセンター」という言葉で表現されることもあります。これは、ソフトウェアの利用や改変の自由度が高いものの、完全な自由（パブリックドメイン）や、派生物にも同じライセンスを適用する必要があるコピーレフトとは異なる性質を表しています。

他のライセンスとの比較

パブリックドメイン

パーミッシブ・ライセンスは、パブリックドメインとは異なります。パブリックドメインは著作権が放棄された状態であり、誰でも自由に利用できます。一方、パーミッシブ・ライセンスでは、著作権表示を求められる場合があります。米国の著作権登録においては、過去に公表された資料の開示が必要であるため、著作権表示は学問分野における倫理的な要件として考えられています。

コピーレフト・ライセンス

パーミッシブ・ライセンスとコピーレフト・ライセンスの最大の違いは、ソースコードの公開義務の有無です。パーミッシブ・ライセンスでは、ソフトウェアを再配布する際にソースコードの公開は必須ではありません。一方、コピーレフト・ライセンスでは、修正されたソフトウェアを再配布する際に、ソースコードの公開が義務付けられます。また、ライセンスの互換性においても、パーミッシブ・ライセンスは柔軟性が高く、多くの他のライセンスと互換性があります。一方で、コピーレフト・ライセンスは互換性に制約がある場合があります。

FreeBSDプロジェクトは、企業の商用利用において、パーミッシブ・ライセンスを「将来的な機能において最小限の制限」と評価し、コピーレフト・ライセンスを「法的な時限爆弾」と表現し、そのメリットを主張しています。

ライセンスの互換性

一般的なパーミッシブ・ライセンスは、他の多くのソフトウェアライセンスとの互換性が高いことが特徴です。これは、パーミッシブ・ライセンスが制限を少なくしているため、コピーレフト・ライセンスと組み合わせて利用することが可能であるためです。一方、古いパーミッシブ・ライセンスの中には、広告表示を求める条項があり、コピーレフト・ライセンスとの互換性がない場合がありました。しかし、近年普及しているMITライセンスや３条項BSDライセンスには、そのような条項がなく、コピーレフト・ライセンスとも互換性があります。ただし、一部のパーミッシブ・ライセンスでは、再配布に新たな制限を加えることを認めていないものもあり、他のソフトウェアライセンスとの互換性を失っている場合があります。

採用実績

パーミッシブ・ライセンスは、オープンソースライセンスにおいて非常に重要な役割を果たしています。2010年前後から、コピーレフト・ライセンスと比較して、パーミッシブ・ライセンスの人気が高まりました。特に、2015年以降は、MITライセンスが最も採用されるオープンソースライセンスとなり、コピーレフト・ライセンスのGPLv2を上回る普及を見せています。

主なパーミッシブ・ライセンス

MITライセンス
BSDライセンス
Apacheライセンス
Apple Public Source License
* zlibライセンス

これらのライセンスは、いずれも再配布の自由度が高く、商業利用にも適しているため、多くのプロジェクトで採用されています。

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