オープンソースライセンス

オープンソースライセンスとは

オープンソースライセンスとは、ソフトウェアとそのソースコードの利用、修正、頒布を許可するソフトウェアライセンスの総称です。これは「広義のオープンソース[[ソフトウェア]]」に課せられるライセンスであり、オープンソースライセンスと自由ソフトウェアライセンスを包括しています。

オープンソースライセンスの主な特徴は、ソフトウェアが元の作者の制御を超えて流通するため、ソフトウェアは「有用であるとは思うが無保証である」という但し書きを基本として含んでいることです。また、ライセンスによっては、作者名や著作権を表示する義務（著作権表示条項）や、ソースコードを改変して再頒布する場合は同じライセンスで配布する義務（コピーレフト条項）が定められています。

ライセンスの種類

オープンソースライセンスとして適切とされるライセンスは、オープンソース・イニシアティブ（OSI）、フリーソフトウェア財団（FSF）、Fedora、Debianなどが精査しています。主なライセンスには、Apache-2.0、MIT、GPLv3、CDDL-1.0などがあります。

オープンソースライセンスの誓約

オープンソースライセンスは、ライセンサー（作者）が定めた誓約の範囲内で、ライセンシー（利用者）にソフトウェアとソースコードの自由な利用を認めます。多くのライセンスで、作者はソフトウェアとソースコードを「無保証（NO WARRANTY）」と宣言し、さらにライセンスごとに異なる誓約が定められています。

基本的な誓約

オープンソース[[ソフトウェア]]の性質上、ソフトウェアやその二次著作物は作者の制御を超えて流通します。そのため、作者はソフトウェアの品質を保証することが難しく、基本的な誓約として「有用であるとは思うが無保証である」と規定しています。つまり、作者はソフトウェアが予期した通りに動作することを保証せず、その結果として利用者に損害が生じても責任を負いません。

著作権表示条項

著作権表示条項は、ソースコードや付属文書に適切な形で著作権表示を保持することを定めます。これにより、二次著作物の作成者が自身でゼロから作成したかのように偽ることを防ぎます。ソースコードを伴わないバイナリ形式での配布を認めているライセンスでは、付属文書に著作権表示を記載するよう義務付けているものもあります。著作権表示は、ソースコード上の作者名、プロジェクト内のCOPYRIGHTファイル、アプリケーション上の表示などがあります。表示の程度はライセンスによって異なります。例えば、Apache-2.0はエンドユーザーへの著作権表示を含みますが、MITは含みません。

コピーレフト条項

コピーレフト条項は、ライセンスされたソフトウェアを修正して二次著作物として公開する場合、同じライセンスまたは同等の利用許可を要求するライセンスで公開することを定めます。これにより、あるソフトウェアが自由に利用できる状態だったものが、企業や研究機関によって改変され、独自のライセンスで公開されて他のユーザーが自由に利用できなくなることを防ぎます。しかし、企業や研究機関にとっては技術革新による利益を享受できないため、コピーレフトライセンスに否定的です。GPL（GNU General Public License）が代表的なコピーレフトライセンスです。

原作者特権条項

原作者特権条項は、原則として利用者に特定の行為を許可または禁止するものの、原作者が利用する場合はその制限を受けないとする条項です。これは、企業が自社で独占的に所有していたソースコードをオープンソース化する際に考慮されることがあります。例えば、MPL（Mozilla Public License）では、二次著作物を頒布する際にソースコードを公開する必要がある一方で、Mozillaの著作権を持つNetscape Communicationsは例外とされています。

オープンソースライセンスのカテゴリ

OSI オープンソースライセンス

OSI（オープンソース・イニシアティブ）が承認したオープンソース[[ソフトウェア]]に課するライセンスです。OSIは「オープンソースの定義」に基づいて、利用者の目的を問わず利用、修正、再頒布を認めるライセンスを承認しています。主要なライセンス一覧を公開しており、ソフトウェアがオープンソースを名乗る場合は、この承認されたライセンスを課すことを推奨しています。

FSF 自由ソフトウェア ライセンス

FSF（フリーソフトウェア財団）が承認した自由ソフトウェアに課するライセンスです。FSFは「自由ソフトウェアの定義」に基づいて、利用者がソフトウェアを実行、複製、頒布、学習、改善する自由を尊重するライセンスを承認しています。FSFはライセンス一覧を保守し、各ライセンスが自由ソフトウェアライセンスに適合しているか、コピーレフト条項を含むかなどを明記しています。

Fedora Licensing List

Fedoraプロジェクトのソフトウェアに課せられるべきライセンスの一覧を管理しています。Fedoraの公式パッケージに含まれるソフトウェアは、この一覧にあるライセンスが課せられており、FSF、OSI、Red Hat法務担当が公認しています。ライセンスの適正判断や新規追加の要望を公開の場で検証します。

DFSG準拠ライセンス

Debianは、DFSG（Debianフリー[[ソフトウェアガイドライン]]）に準拠したソフトウェアライセンスの一覧を管理しています。Debianの公式パッケージに含まれるソフトウェアは、原則としてこのガイドラインに準拠したライセンスが課せられており、利用者がソースコードを利用、修正、再頒布できることを求めています。DFSG準拠ライセンスは、オープンソース[[ソフトウェア]]の定義に合致します。

パブリックドメイン

パブリックドメインにソフトウェアのソースコードを置くことは、著作権を放棄する手段の一つです。パブリックドメインのソースコードは全ての権利が放棄されていると見なされ、利用者は自由に利用、修正、再頒布できます。CC0、Unlicense、WTFPLなどが、パブリックドメインと同等の条件でソフトウェアを配布するライセンスとして存在します。

しかし、パブリックドメインの著作権放棄は法的に不明確な点があり、OSIはパブリックドメインをオープンソースと承認していません。一方、FSFはCC0をパブリックドメインにソフトウェアを置く手法として推奨しています。

デュアルライセンス

オープンソースライセンスは、デュアルライセンスで用いられることがあります。利用者は、課せられた複数のライセンスの中から一つを選択して利用できます。主な用途はビジネスモデルとライセンスの互換性です。例えば、著作権表示条項の強弱が異なるライセンスを併用することで、ビジネス上のメリットを享受できます。また、ライセンスの互換性がないソフトウェアを併用する際に、デュアルライセンスを利用することでライセンスの選択肢を広げることができます。

ライセンスの課題

ライセンスの互換性

オープンソース[[ソフトウェア]]開発では、自身のソフトウェアに課すライセンスと、利用するソースコードのライセンスの検証が重要です。ライセンスの選択を誤ると、ソフトウェアの利用が制限されたり、法的問題が生じたりする可能性があります。

ライセンスの氾濫

2000年代前半には、多数の独自ライセンスが作成され、ライセンスの氾濫が問題となりました。この問題に対処するため、OSIはライセンスレビューを通して承認ライセンスを選定し、ライセンスの氾濫を抑制しました。オープンソース[[ソフトウェア]]のライセンスは、既存のライセンスを採用することが推奨されます。

ウイルス性ライセンス

ライセンスの継承条文を持つライセンスは、二次利用されたソフトウェアにも同じライセンスを適用させるため、ウイルス性ライセンス（ライセンス感染）と呼ばれます。これにより、ライセンスの氾濫を防ぐことができますが、一方でライセンスの自由度が失われ、利用上の制約を伴う可能性があります。GPLやCC BY-SAなどが代表的な例です。

パブリックドメインの有効性

パブリックドメインは、著作権を放棄する手段ですが、その法的な有効性には不明確な点があります。著作権放棄の意図で公開されたソースコードに対して、後から著作権を主張される可能性も否定できません。そのため、OSIはCC0を有効なライセンスとして承認していませんが、FSFは推奨しています。

法的判断

オープンソースライセンスは、著作権法に基づき法的拘束力を持ちます。ライセンス違反は著作権侵害と同等とみなされます。過去には、オープンソースライセンスの法的拘束力が争われた訴訟や、ライセンスの解釈に関する問題も発生しています。例えば、SCOグループによるLinux関連製品の訴訟や、DebianによるFirefoxの商標問題、TiVo化に対するGPLの対応などが挙げられます。

主要なライセンス

広く使われている、または著名なコミュニティが採用しているオープンソースライセンスの例としては、Apache-2.0、MIT、GPLv3などがあります。

まとめ

オープンソースライセンスは、ソフトウェアの利用と開発を促進する上で重要な役割を果たしています。ライセンスの種類や条項を理解し、適切なライセンスを選択することが、ソフトウェア開発者と利用者の双方にとって重要です。

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