パーミット級原子力潜水艦

パーミット級原子力潜水艦

パーミット級原子力潜水艦は、アメリカ海軍の攻撃型潜水艦で、元々1番艦として建造される予定だった「スレッシャー」（USS Thresher, SSN-593）が1963年に事故で沈没したため、2番艦である「パーミット」（USS Permit, SSN-594）の名からこの艦級が名付けられました。

概要

この艦級は、潜水艦の動力として原子力を用いることで無制限の航行能力を持ち、水中の静粛性が優れている設計が特徴です。スキップジャック級潜水艦の技術を基に、原子力艦の設計と運用に携わる上での新しい課題を克服するために、1956年に開始されたノブスカ計画（Project Nobska）が重要な役割を果たしました。この研究は、潜水艦の運用深度の増加や静粛性の向上、ソナー性能を改善することを目的とし、最終的にパーミット級の設計に反映されました。

試作艦の「タリビー」（USS Tullibee, SSN-597）は、静粛性や潜航能力を高めることに成功しましたが、その代償として速力と武器搭載能力が低下しました。これらの知見を基に、パーミット級はより実用的な設計として生まれました。

設計と技術

ノブスカ計画の成果として、以下の設計変更が施されています：

• - 各機器類の騒音を減少させるために、タービンやモーターをラフトに載せ、外部へ振動を伝達しない工夫。
• - 初めて7翼のハイスキュード・プロペラを採用し、静粛な回転で推進力を得るように設計。
• - HY-80高張力鋼を用いた船体が運用深度の増加を実現し、深潜能力を高めています。
• - 大型の球形ソナー・アレイが搭載され、長距離の探知能力が強化されました。

これにより、パーミット級は水中での静粛性を約10デシベル向上させ、運用深度を180メートル深くすることができました。艦体の大型化は水中抵抗を増大させる一方で、船の形状は魚雷型に変更され、水中排水量が800トン増加しました。このため、セイル（艦橋部）は縮小され、潜望鏡は通常二本あるところを一本に減少させることに至りました。

原子炉と信頼性

原子炉はスキップジャック級と同様のS5W廃熱炉が採用され、出力は変更されていませんが、設計の見直しにより、これまでの炉心命数が5,000時間から1万時間へと延長され、運用の信頼性が向上しました。特に事故の教訓を反映し、後期建造艦は改良された艦型を持ち、より大きなセイルと延長された船体を特徴とする形で安全性が強化されました。

スレッシャー沈没事件

パーミット級の背景には、悲しい歴史があります。1963年4月10日、1番艦スレッシャーが公試中に沈没し、艦に乗っていた108名の乗組員とその他の士官、文官の全員が命を落としました。この不幸な事故が発生した後、アメリカ海軍は全艦に対してSUBSAFE改装を実施し、深海救難潜水艇（DSRV）の開発が必要とされる出発点となりました。

結論

パーミット級原子力潜水艦は、技術革新と安全性向上の努力が重ねられ、アメリカ海軍による重要な攻撃型潜水艦の一つとなりました。

もう一度検索