パールアンドハーミーズ環礁

パール・アンド・ハーミーズ環礁：北西ハワイの秘宝

パール・アンド・ハーミーズ環礁は、北西ハワイ諸島の北部に位置する、手つかずの自然が残る美しい環礁です。ハワイ語では「Holoikauaua」と呼ばれています。1822年、この地でイギリスの捕鯨船であるパール号とハーミーズ号が難破したことが、その名前の由来となっています。

環礁の概要

環礁は、いくつかの砂でできた島々と、それを取り囲むように発達した大規模な珊瑚礁で構成されています。島々の総面積は約36万平方メートルです。これらの島々は、North Island、North Little Island、Southeast Island、Bird Island、Grass Island、Seal-Kittery Islandといった名前で呼ばれています。

真珠採取事業と禁猟区指定

1927年、ウィリアム・グレイグ・アンダーソンがこの海域でマグロ漁をしていた際に真珠棚を発見しました。これがきっかけとなり、一時的に環礁での真珠採取事業が開始されました。しかし、事業は2、3年で終わり、その後ハワイ政府は環礁を禁猟区に指定し、一切の事業活動を禁止しました。この措置によって、環礁の生態系は保護されることとなりました。

龍睡丸の漂流

1899年（明治32年）5月20日、日本の帆船である龍睡丸が時化に遭い、パール・アンド・ハーミーズ環礁で座礁・難破するという事故が発生しました。乗組員16名は無人島に上陸し、3ヶ月以上もの間、過酷な環境下での生活を余儀なくされました。しかし、彼らは互いに助け合い、知恵を絞り、最終的には全員が生還を果たしました。

この出来事は、大道寺謙吉によって『龍睡丸漂流記』（明治36年刊）として、また須川邦彦によって少年誌「少年倶楽部」で連載された『無人島に生きる十六人』（昭和18年単行本化）として語り継がれています。乗組員が生還後に語った島の形状から、彼らが漂着したのはSoutheast Islandであると推測されています。この漂流記は、人間の強さ、勇気、そして生きる希望を描いた感動的な物語として、今も多くの人々に読み継がれています。

北西ハワイ諸島ナショナル・モニュメント

2006年6月、ジョージ・W・ブッシュ大統領は、パール・アンド・ハーミーズ環礁を含む北西ハワイ諸島を「北西ハワイ諸島ナショナル・モニュメント」に指定しました。この指定により、環礁とその周辺海域は厳重に保護されることとなり、貴重な生態系が未来へと引き継がれることが期待されています。

関連項目

北西ハワイ諸島

外部リンク

NWHI: About: Pearl and Hermes Atoll（英語） - Northwestern Hawaiian Islands Multi-Agency Education Project
須川邦彦『無人島に生きる十六人』｜新潮社
『無人島に生きる十六人』：新字新仮名 - 青空文庫
* 『竜睡丸漂流記 : 探検実話』 - 国立国会図書館デジタルコレクション

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