ヒスパニア・ウルテリオル

ヒスパニア・ウルテリオルは、ローマ帝国がイベリア半島に設置した属州の一つで、ラテン語で「向こう側のヒスパニア」「遠いほうのヒスパニア」という意味を持ちます。地理的には、現在のグアダルキビール川流域を中心とする地域を指し、主都はコルドゥバ（現在のコルドバ）に置かれました。イベリア半島には、他にヒスパニア・キテリオルという属州が存在し、こちらは「こちら側のヒスパニア」を意味していました。カルタゴ・ノバより北側がヒスパニア・キテリオルです。

歴史を遡ると、第二次ポエニ戦争中の紀元前209年、大スキピオがイリッパの戦いでカルタゴ軍に勝利し、カルタゴ・ノヴァ（現在のカルタヘナ）を占領しました。この勝利によって、ローマはカルタゴ勢力のイベリア半島南部への進出を阻止し、エブロ川までの地中海沿岸地域を支配下に置きました。第二次ポエニ戦争終結から4年後の紀元前197年には、ヒスパニア・キテリオルとヒスパニア・ウルテリオルの2つの属州が正式に設立され、ローマによるイベリア半島の統治が本格的に始まりました。

紀元1世紀末、アウグストゥス帝は帝国の属州再編の一環として、ヒスパニアの属州についても見直しを行いました。その結果、ヒスパニア・ウルテリオルはヒスパニア・バエティカと改称され、新たにヒスパニア・ルシタニアがヒスパニア第3の属州として設置されました。この再編により、ヒスパニアにおけるローマの統治体制はより強固なものとなりました。ヒスパニア・バエティカは、その肥沃な土地と豊かな資源により、ローマ帝国にとって重要な属州の一つとして繁栄しました。

関連事項：

* ヒスパニア・キテリオル

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