ヒメハヤ

ヒメハヤ（姫鮠）について

ヒメハヤ（学名: Phoxinus phoxinus）は、コイ目コイ科に属する小型の淡水魚で、英語では「Common minnow」と呼ばれます。その名の通り、日本では「姫」のように可愛らしい姿をしていますが、ユーラシア大陸に広く分布し、多様な環境に適応していることが知られています。

分布

ヒメハヤは、ヨーロッパからアジアにかけて広範囲に分布しています。具体的には、グレートブリテン島、スカンジナビア半島を含むヨーロッパ全域（イベリア半島を除く）、シベリア、ロシア沿海州、中国東北部、そして朝鮮半島北部（大韓民国領内まで）に生息しています。この広大な分布域は、ヒメハヤが多様な環境に適応できる能力を持っていることを示しています。

形態

成魚の体長は通常5〜6cm程度で、比較的小型です。背面は褐色で、黒い斑点が散らばっています。体側には太い一本の縦帯が走り、その上には細い金色の帯があります。また、不規則な横帯も確認できます。腹面は銀白色で、光を反射して美しく輝きます。

繁殖期に入ったオスは、特に外見が大きく変化します。頭部には追星と呼ばれる突起が現れ、体側から腹部にかけては濃い緑色に染まります。さらに、腹部下縁は赤く縁取られ、婚姻色と呼ばれる鮮やかな色彩を帯びます。この婚姻色は、メスにアピールするためのものです。

生態

ヒメハヤは、溶存酸素量が多く、水温の低い清浄な流水域を好みます。そのため、渓流や小川などの流れの速い場所に多く生息しています。水質汚染には弱く、清らかな環境が保たれている場所でしか見ることができません。

食性は雑食性で、様々なものを食べます。落下昆虫、水生昆虫、ミミズ、甲殻類、植物の破片、藻類、種子など、手に入るものを何でも口にします。この幅広い食性が、ヒメハヤが多様な環境で生き抜くための適応戦略の一つと考えられます。

ヒメハヤは、その生息環境から水質汚染の指標となることもあります。ヒメハヤが元気に生息している場所は、自然環境が良好な証拠と言えるでしょう。

出典

Phoxinus phoxinus in FishBase ,2021年3月12日閲覧。
『朝鮮魚類誌』 朝鮮総督府水産試験場、1939年。

関連項目

* 魚の一覧

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