ヒューズ EX-34

ヒューズEX-34

ヒューズEX-34は、かつてヒューズ・ヘリコプターズ社（後にマクドネル・ダグラス・ヘリコプターズ、現在はボーイングの一部）によって開発された7.62x51mm NATO弾を使用するチェーンガンです。同社が手掛けたチェーンガンファミリーの中では最も小型のモデルに位置づけられます。

設計の特徴

本銃の設計は、先行して開発された30mm口径のM230（AH-64 アパッチ攻撃ヘリコプターなどに搭載）や25mm口径のM242（ブラッドレー歩兵戦闘車などに搭載）といった、より大型のチェーンガンと多くの技術的な共通点を持っています。最大の特徴は、火薬の燃焼ガス圧ではなく、外部動力（この場合は24ボルト・0.3馬力、約0.22kWの電動機）によって作動機構を駆動する「チェーンガン」方式であることです。この外部駆動方式により、火薬の種類や状態に左右されにくい安定した作動と、発射速度を精密に制御できるという利点があります。

また、使用済みの薬莢を銃身に沿って前方へ排出する機構を備えている点も特徴です。これはM242と同様の設計であり、特に装甲車両などに搭載された際に、機関部から発生する燃焼ガスが車内に流入するのを防ぎ、また薬莢が周囲に散乱するのを抑制する効果があります。銃身の交換も迅速に行えるように設計されており、弾帯を取り外すことなく10秒以内で完了できるとされています。

開発当初から、アメリカ軍の既存車両への搭載も考慮されていました。例えば、M60パットン戦車の同軸機関銃として使用されているM73機関銃からの換装に際し、特別な改修が不要となるよう設計されていました。さらに、500MD軽攻撃ヘリコプターへの搭載を想定した派生型として、HGS-55というモデルも開発されています。

運用と採用

EX-34は、アメリカ陸軍および海軍水上戦センター（NSWC）ダールグレン支所において広範な試験に供されました。海軍が行った信頼性、耐久性、性能能力、安全性、操作性に関する評価試験では、すべての段階において「傑出した」性能を示したと報告されています。これらの高い評価を受け、アメリカ海軍は、Mk.38 Mod.3 25mm機関砲システム（単装のM242チェーンガンを搭載）の同軸機関銃として、7.62mm口径のチェーンガンであるMk.52を採用しました。

アメリカ以外の国でも採用が進みました。イギリス軍は1979年にEX-34を試験導入し、その優れた性能を確認した後に採用を決定しました。イギリス軍向けに長銃身化されたモデルはL94A1として制式化され、ロイヤル・スモール・アームズ・ファクトリーでライセンス生産された後、製造元がヘッケラー&コッホに移管されました。L94A1は、イギリス陸軍の主力戦闘車両であるウォーリア歩兵戦闘車やセイバー偵察戦闘車、チャレンジャー2主力戦車など、多岐にわたる装甲車両に搭載されています。

近年では、日本の陸上自衛隊もEX-34の派生型を採用しています。2024年に制式化された24式装輪装甲戦闘車を始めとする共通戦術装輪車シリーズの同軸機関銃として、7.62mm機関銃MK52の名称で採用されました。

EX-34は、そのコンパクトさ、高い信頼性、安定した作動、そして車両搭載時の利便性から、世界各国の様々な戦闘車両や艦艇の副武装、同軸機関銃として広く採用されている実績豊富な火器と言えます。

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