ヒリュウシダ

ヒリュウシダ（Blechnum orientale L.）

ヒリュウシダは、シダ植物門シシガシラ科ヒリュウシダ属に分類される大型のシダです。亜熱帯から熱帯にかけて広く分布し、日本では屋久島以南の琉球列島や小笠原諸島に自生しています。

特徴

日本のシシガシラと同属ですが、その外観は大きく異なります。シシガシラが সাধারণত 30cm程度の大きさであるのに対し、ヒリュウシダは葉の長さが2mを超えることも珍しくありません。また、胞子葉を別に形成しない点も、両者の違いとして挙げられます。

根茎: 短い塊状で、多数の葉を密集させて生じます。根茎と葉の付け根付近は、褐色の毛のような鱗片に覆われています。
葉: 斜め上に立ち上がるように伸び、長さは最大で2mにも達します。葉の基部から約四分の一は葉柄となっており、太くて硬い葉柄には、痕跡的な羽片がまばらに並んでいます。
葉身: 全体としては披針形をしており、一回羽状複葉です。葉質は薄く、やや柔らかで、表面にはわずかに光沢があります。葉の色は緑色ですが、新芽の時期には赤みを帯びます。
胞子のう群: 主脈の両側に密着して、連続した線状に伸びています。

生育環境

日本では、屋久島以南の琉球列島や小笠原諸島に分布しています。かつて屋久島では多く見られたようですが、近年ではほとんど見られなくなっています。沖縄ではごく সাধারণ種として、山林、特にやや明るい林によく出現します。また、林縁部や道路脇などにも生育し、やや雑草的な性質も持ち合わせています。

類似種

日本国内には、ヒリュウシダとよく似た種は存在しません。

国外では、南アメリカ原産のブラジルヒリュウシダ（B. occidentale L.）が類似種として知られており、観葉植物として栽培されることがあります。園芸植物としては、「Hammock fern」という名前で流通しています。

ヒリュウシダは、特に利用されることも、人に害を及ぼすこともありません。

参考文献

岩槻邦男編『日本の野生植物　シダ』(1992)平凡社
光田重幸『しだの図鑑』(1986)保育社

もう一度検索