ヒルガオ

ヒルガオ（昼顔）

ヒルガオは、ヒルガオ科に属するつる性の多年草で、日本全国に分布しています。その名の通り、昼間も花を咲かせている姿が特徴的で、人々に親しまれています。ここでは、ヒルガオの生態、名前の由来、利用方法、そして類似種について詳しく解説します。

名称の由来と歴史

ヒルガオの名前は、アサガオが朝に花を咲かせるのに対し、昼間も花を咲かせていることに由来します。古くは万葉集にも「容花（かおばな）」として登場し、その美しさが歌われています。アサガオが中国から伝来した際に、区別するためにヒルガオと呼ばれるようになったという説もあります。

地方によっては、オコリバナ、カミナリバナ、アメフリバナなど、様々な呼び名で親しまれています。これらの名前は、ヒルガオの咲く様子や、その土地の風土に結びついたものでしょう。

英語では、そのつる性の性質から「Bindweed（巻き付く雑草）」と呼ばれています。

分布と生育地

ヒルガオは日本原産の植物で、北海道から九州まで広く分布しています。日当たりの良い野原や道端、河川敷、畑など、様々な場所で見られます。つるを伸ばして他の植物に巻き付いて生息する姿は、生命力に溢れています。

特徴

ヒルガオは地下茎で繁殖する多年草です。地中を這う白い根茎からつるを伸ばし、他のものに絡みつきます。葉は細長い三角形で、基部が耳のように張り出しています。初夏から夏にかけて、葉の付け根から淡いピンク色の漏斗状の花を咲かせます。花は一日花で、夕方にはしぼみます。

ヒルガオはアサガオと異なり、自分の花粉では受粉せず、他の株の花粉が必要です。そのため、種子での繁殖は限られ、主に地下茎で増殖します。

鑑賞用のアサガオとは異なり、ヒルガオは繁殖力が強く、一度増えると駆除が難しいため、雑草として扱われることが多いです。

利用

ヒルガオは薬用植物としても利用されます。全草を乾燥させたものは「旋花（せんか）」という生薬になり、利尿、強壮、疲労回復などの効果があるとされています。また、若葉や花は食用にすることもできます。

薬用

旋花は、茎葉を刈り取り、乾燥させて作られます。煎じて服用することで、利尿作用や疲労回復効果が期待できます。神経痛には、浴湯料として利用されることもあります。

食用

ヒルガオの葉、花、茎、地下茎はすべて食用可能です。若いつるや葉は、茹でておひたしや和え物に、花はサラダや天ぷらに、地下茎は天ぷらやかき揚げにして美味しくいただけます。

類似種

ヒルガオには、コヒルガオ、ヒロハヒルガオ、ハマヒルガオなどの類似種があります。

コヒルガオ: ヒルガオより花が小さく、葉の形が異なります。食用になります。
ハマヒルガオ: 海岸の砂地に生え、厚みのある葉を持ちます。花の色は淡い紅色です。
* セイヨウヒルガオ: 外来種で、ヒルガオに似ていますが、苞の位置が異なります。

文化

ヒルガオは6月5日の誕生花とされており、「絆」、「優しい愛情」、「情事」などの花言葉を持っています。

ヒルガオは、美しい花を咲かせる一方で、繁殖力の強さから雑草として扱われることもあります。しかし、薬用や食用としての利用価値もあり、私たちの生活に深く関わっている植物です。

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