ヒレナガカンパチ

ヒレナガカンパチ (Seriola rivoliana)

分類

ヒレナガカンパチは、アジ科ブリ属に分類される海水魚です。1833年にアシル・ヴァランシエンヌとジョルジュ・キュヴィエによって、彼らの著作『Histoire naturelle des poissons』の中で記載されました。この書籍はキュヴィエの死後に発表されました。

分布

この魚は、小さい群れを形成し、主に堆やサンゴ礁の斜面を好んで生息します。水深5mから160mの範囲で見られますが、通常は5mから35mの比較的浅い場所にいます。生息範囲は広く、インド太平洋ではケニアから南アフリカ、マリアナ諸島、ウェーク島、琉球諸島、ケルマディック諸島、ニューカレドニアなどに分布しています。ただし、紅海やセイシェルには生息していません。東太平洋ではカリフォルニアからペルー、ガラパゴス諸島にかけて、西大西洋ではケープコッドからアルゼンチン北部まで分布しています。東大西洋での分布はまだ詳細には解明されていませんが、ランペドゥーザ島での記録があります。

形態

ヒレナガカンパチはアジ科の中では比較的体高があり、側扁した体型をしています。特徴的なのは、第二背鰭が第一背鰭の約2倍の高さを持つ点で、第二背鰭と臀鰭は長く伸びて鎌のような形をしています。背鰭は8棘27-33軟条、臀鰭は3棘18-22軟条で構成されています。

体長は通常90cm程度ですが、最大で160cm、体重59.9kgに達することもあります。体色は、体側下部に琥珀色からオリーブ色の帯が走り、背面と鰭は暗褐色から暗い青緑色をしています。腹面は色が薄く、黄色から紫色に見える反射があります。成魚になると、頭部に暗褐色の線が現れます。腹鰭は白く、これらの特徴的な色彩パターンを持っています。

生態

ヒレナガカンパチは、昼夜を問わず活発に摂食し、主に小魚やイカを捕食します。また、体表に寄生する生物を落とすために、サメやダイバーに体をこすりつける行動が観察されています。

飼育下での研究によると、水温26℃で飼育した場合、採集から約2ヶ月で性成熟し産卵を開始します。その後、約3ヶ月にわたって週に1-2回の産卵が観察され、1シーズンでの産卵数は1200万個に達することが報告されています。

養殖

ヒレナガカンパチは、ハワイ島近辺で「Kona Kampachi」というブランド名で養殖されています。養殖されたヒレナガカンパチは、天然マグロなどの代替品として市場に流通しており、その持続可能な生産方法が注目されています。2008年には全世界で450tの生産量がありました。

天然のヒレナガカンパチは、シガテラ毒を持つ可能性があるため、大規模な漁業は行われていません。このため、個体数は比較的豊富に保たれています。

養殖においては、飼料要求率が非常に低い魚種であることが知られており、選抜育種を行わなくても、肉1に対して1.6-2程度の飼料で済むという効率の良さを持っています。この飼料効率はクロマグロの約1/10と非常に優れています。また、肉の脂質含有率は約30%程度です。

養殖は、深い海底に係留された菱形の網で行われます。このような場所は海流が速いため、食べ残しなどを効果的に流し去り、環境への負荷を低減する効果があります。

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