ヒロシマ (バンド)

ヒロシマ（Hiroshima）

概要

ヒロシマ（Hiroshima）は、1974年にアメリカ合衆国で結成された、日系アメリカ人メンバーを中心とするフュージョンバンドです。バンド名は日本の広島市にちなんで名付けられました。彼らの音楽性は、日系人としてのルーツを深く反映しており、琴や和太鼓といった日本の伝統楽器を積極的にサウンドに取り入れているのが最大の特徴です。これにより、フュージョン、ジャズ、R&Bといったアメリカ音楽の要素に、邦楽や東洋的なワールドミュージックのテイストが融合した、独自のオリエンタルなサウンドを確立しています。

活動の軌跡

バンドは1974年に活動を開始しました。初期メンバーは、リーダーとしてサックス、フルート、キーボードを担当するダン・クラモト、琴奏者のジュン・クラモト、和太鼓およびパーカッション担当のジョニー・モリ、そしてキーボードとドラムを担当するダニー・ヤマモトの4名が中心でした。メンバーのうちジュン・クラモトは埼玉県で生まれ、幼少期にロサンゼルスへ移住しています。

1979年には、アリスタ・レコードからセルフタイトルのアルバム『HIROSHIMA』で正式にデビューを果たしました。このデビュー作で彼らのユニークなサウンドは注目を集めます。その後、1980年代に入ると、彼らはエピック・レコードに移籍し、アルバム『サード・ジェネレーション』や『アナザー・プレイス』などを発表。精力的に作品をリリースし、その評価を確固たるものにしました。

日本国内でも、当時のフュージョンブームと相まって彼らの人気が高まり、人気バンドであるTHE SQUARE（現在のT-SQUARE）とのジョイントコンサートも開催され、多くの日本の音楽ファンにその存在を知られるようになりました。

バンドの活動は順調に進み、1989年には大ヒットSF映画シリーズの劇場版『スタートレックV 新たなる未知へ』に彼らの楽曲が採用されるという快挙を成し遂げます。さらに1990年には、ジャズ界の巨匠マイルス・デイヴィスのツアーで前座を務めるなど、この時期はバンドのキャリアにおける重要なピークだったと言えます。その後、音楽シーンにおいてニューエイジ・ミュージックが隆盛する流れも手伝い、ヒロシマのサウンドはより幅広い層の聴衆に受け入れられるようになりました。

1990年代には、著名な音楽プロデューサーであるクインシー・ジョーンズが主宰するクウェスト・レコードに所属し、アルバム『L.A.』などをリリースしました。1999年にウィンダム・ヒル・レコードからアルバムを発表した後、2000年代に入るとテラーク傘下のヘッズ・アップ・レコードから立て続けに作品を発表するなど、様々なレーベルを渡り歩きながら活動を継続しました。

2011年からは自主レーベルでのリリースに切り替えるなど、変化する音楽業界の中で独自の道を歩み、現在も精力的な音楽制作とライブ活動を続けています。長年にわたり、彼らはフュージョン、ジャズ、ワールドミュージックの分野で、そのユニークなサウンドと文化的な融合によって確固たる地位を築いています。

主なディスコグラフィ（アルバム）

- 『HIROSHIMA』 - Hiroshima (1979年、Arista)
- 『ODORI〜HIROSHIMA II』 - Odori (1980年、Arista)
- 『サード・ジェネレーション』 - Third Generation (1983年、Epic)
- 『アナザー・プレイス』 - Another Place (1985年、Epic)
- 『GO』 - Go (1987年、Epic)
- 『EAST』 - East (1989年、Epic)
- 『プロヴィデンス』 - Providence (1992年、Epic)
- 『L.A.』 - L.A. (1994年、Qwest)
- Urban World Music (1996年、Qwest)
- Between Black and White (1999年、Windham Hill)
- The Bridge (2003年、Heads Up)
- Spirit of the Season (2004年、Heads Up)
- Obon (2005年、Heads Up)
- Little Tokyo (2007年、Heads Up)
- Departure (2011年、Hiroshima)
- J-Town Beat (2013年、CD Baby/Hiroshima)
- Songs with Words (2015年、CD Baby/Hiroshima)

外部リンク

- 公式ウェブサイト
- Heads Up site
- ヒロシマ - Discogs（英語）

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