ヒロボー

ヒロボー株式会社：無線ヘリコプターで世界を翔る

ヒロボー株式会社は、広島県府中市に拠点を置く、プラスチック成形と無線操縦ヘリコプター製造の分野で世界的に知られるメーカーです。かつては紡績業を営んでいましたが、時代の変化に対応し、大胆な業種転換を遂げました。現在では、無線ヘリコプター製造で世界トップクラスのシェアを誇り、国内市場でも確固たる地位を築いています。近年では、UAV（無人航空機）の開発にも力を入れ、更なる事業拡大を目指しています。

事業概要

ヒロボーの事業は、大きく分けて2つの柱があります。

モデル事業: 無線ヘリコプターを中心とした製品の開発・製造・販売
モールド事業: 自動車部品などのプラスチック製品の製造

本社工場は緑豊かな環境に配慮して整備されており、工場見学も受け付けています。また、ライブラリーも併設されており、地域社会への貢献も積極的に行っています。従業員の約7割が女性であることも特徴の一つです。

沿革

ヒロボーの歴史は、1949年の「広島紡績」設立に遡ります。その後、幾多の変遷を経て、現在の姿へと発展してきました。

1949年：広島紡績として設立
1957年：大日本紡績（現・ユニチカ）と提携し、広島合繊紡績を設立
1970年：ヒロボー株式会社に社名変更
1972年：プラスチック部門事業開始
1973年：ラジコン模型分野の開発に成功、ラジコン模型事業開始
1977年：紡績事業から全面撤退
1982年：府中市本山工業団地に新社屋を建設し、移転（現・モールド事業部A工場）
1988年：ヤマハ発動機との共同開発による農業用無線操縦ヘリコプター「R-50」生産開始
1989年：広島スカイテック（現・中国スカイテック）を設立
2003年：中国・上海市に模型店・ショールームを開設。東京事務所・研究開発所を設立。プラスチック真空成形工場を移転
2006年：ヒロボーライブファクトリーを建設（現・本社・モデル事業部）
2010年：プラスチック真空成形工場（クリーン工場）を建設（現・モールド事業部C工場）
* 2019年：高機能住宅　社宅「都A棟」建設

紡績業から無線ヘリコプターへ

創業者の松坂家は、元々府中市で紡績業を営んでいました。しかし、時代の流れとともに紡績業が衰退していく中で、新たな活路を見出す必要に迫られました。1970年代の構造不況とオイルショックが重なり、経営は危機的な状況に陥りました。そこで、ヒロボーはレストランやボウリング場など多角化を試みましたが上手くいかず、1972年に松坂敬太郎が社長代行に就任すると、プラスチック製造部門を創設し、卵や豆腐の容器製造からスタートしました。1973年にはブレーカー製造会社を設立し、大手の下請けとして事業を拡大しました。

転機となったのは、1973年のニュルンベルク国際玩具見本市です。ここで松坂敬太郎は無線ヘリコプターに出会い、自社の技術を活かせる可能性を感じました。帰国後、「無線ヘリ生産を始め、世界一を目指そう」と宣言し、1977年には紡績業から完全に撤退、ヘリコプター製造を事業の中心に据えました。1983年には「操縦しやすい完成品を手頃な値段」で提供することで、一般消費者にも広く受け入れられ、トップメーカーへと躍り出ました。

産業用ヘリコプターとUAV

1988年からは産業用ヘリコプターの製造にも着手し、ヤマハ発動機との共同開発で農薬散布用無人ヘリ「R-50」を開発しました。2012年には電動無人ヘリ「HX-1」、2015年にはデンソーと共同でマルチコプター「HDC01」を開発するなど、常に新しい技術に挑戦しています。北川鉄工所と共同でUAVメーカーのAileLinXを設立するなど、更なる事業展開を図っています。

モールド事業

2008年のリーマン・ショックによる景気低迷を受け、ヒロボーは新たな事業として自動車のガソリンタンク部品製造を開始しました。2017年には自動車関連部品の取り扱いを増やし、現在では売上の9割を自動車部品を中心とするプラスチック製品が占めるまでに成長しています。

ヒロボーは、長年の歴史の中で培ってきた技術とノウハウを活かし、常に変化を恐れず挑戦し続ける企業です。無線ヘリコプターの世界市場をリードする存在として、これからも革新的な製品とサービスを提供し続けるでしょう。

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