無線操縦ヘリコプター

無線操縦ヘリコプター（RCヘリコプター）とは

無線操縦ヘリコプター、通称RCヘリコプターは、無線機を用いて遠隔操作するヘリコプター型の模型航空機です。趣味の範囲を超え、産業分野でも利用されています。動力源としては、グローエンジンや電動モーターが一般的で、電動式は排気ガスを出さないため、屋内での飛行も可能です。

歴史

1960年代から開発が始まりましたが、無線装置の制約が課題でした。1970年代に比例制御が可能な無線装置が登場し、実用化が進みました。1970年には、ディーター・シュルーターが11.5km、27分51秒の飛行記録を達成。同時期、日本でも開発が進められていました。

沖裕二氏は、アメリカのスペースコントロール社製送受信機をいち早く輸入し、自身の設計した機体に搭載して飛行させました。また、シュルーターのヒューイコブラを輸入し、初飛行を試みるものの、当時は回転翼の知識が浅く、不安定な飛行に終わりました。その際、立ち会った野村孝之氏が、自社の技術と設備を使い、独自の機構を開発。カルト産業を設立し、RCヘリコプターの商用販売を開始しました。しかし、初期モデルはエンジンのオーバーヒート問題がありましたが、冷却ファンの改良によって解決しました。

その後、カルト産業はシュルーターから許諾を得て縮小版コブラ450を発売。KAVAN、グラウプナー、ヒロボーなどのメーカーも参入し、市場が拡大しました。1980年代には、電動ヘリコプターや産業用モデルも登場しました。ヤマハ発動機は、ヒロボーの協力を得て、農薬散布や空撮用の産業用RCヘリコプターを開発しました。1989年には、キーエンスからクアッドローターのジャイロソーサーが発売され、マルチコプターの先駆けとなりました。1990年代には、スワッシュプレートを使用しないリボリューターも登場しました。

近年では、リチウムポリマー電池、ブラシレスDCモーター、MEMSジャイロスコープなどの技術が導入され、より手軽に楽しめるようになりました。

原動機

RCヘリコプターの原動機には、以下の種類があります。

グローエンジン: ニトロメタンを燃料とするエンジンで、パワフルな飛行が可能です。
電動モーター: リチウムポリマーバッテリーとブラシレスモーターを搭載し、静かで扱いやすいのが特徴です。
ガスタービン: 高出力で、ジェットエンジンのようなサウンドが楽しめます。
ガソリンエンジン: 高出力でありながら、燃料費が安く済みます。
ロータリーエンジン: 振動が少なく、高出力を発揮します。

無線装置

無線装置は、日本メーカーが優位を保っています。室内用ヘリコプターでは、赤外線コントロールも使われています。

主なブランドとしては、JR、Spektrum、Futaba、Hitec、エアトロニクス、三和電子機器、Multiplexなどがあります。

チャンネル数は、固定ピッチ機で4チャンネル、可変ピッチ機で5〜6チャンネルが一般的です。

従来は水晶振動子でバンドを切り替えていましたが、シンセサイザー方式、VSMスペクトラム拡散式が普及しています。

使用可能な周波数帯は、40MHz帯、72MHz帯、2.4GHz帯ですが、産業用には別の周波数が割り当てられています。

変調方式には、FM（周波数変調）が使われ、PPM式やPCM式がありましたが、近年はVSMスペクトラム式が普及しています。ただし、VSMスペクトラム式はメーカー間での互換性がまだ確立されていません。

用途

RCヘリコプターは、趣味だけでなく、様々な産業分野で活用されています。

空撮: 航空写真や動画の撮影に利用されます。
農薬散布: 農薬を効率的に散布できます。
救助活動: 災害現場での情報収集や物資輸送に役立ちます。
偵察任務: 警備や監視活動に使われます。

農薬散布用としては、農林水産航空協会の委託で開発された二重反転ローター式の遠隔誘導式小型飛行散布装置（RCASS）が原型となり、ヤマハ発動機も開発に参画しました。ヒロボーは、テールローター付きのモデルを開発し、多くのメーカーが追随しました。

比較

RCヘリコプターとマルチコプターは、どちらも無線で操縦できる航空機ですが、構造や飛行特性が異なります。ヘリコプターは、メインローターとテールローターで飛行するのに対し、マルチコプターは複数のローターを制御して飛行します。ヘリコプターはより複雑な操作が必要ですが、マルチコプターは安定性が高く、操作が容易です。

関連項目

ヘリコプター
マルチコプター
無人航空機
KAVAN
ブラック・ホーネット・ナノ

外部リンク

A comprehensive R/C Helicopter links directory
A complete description of the operating principles behind the flybar and Hiller/Bell-Hiller style rotor heads
ヤマハ発動機の無線操縦ヘリコプター商品紹介ページ
ラジコンヘリ＠ウィキ

もう一度検索