ビアンキ (オートバイ)

ビアンキ モーターサイクルの歴史：イタリアを代表するロードレーサー

ビアンキ社は、現在では世界的に有名な自転車メーカーとして知られていますが、1897年から1967年にかけては、高性能オートバイも製造していました。その歴史は、自転車製造で名を馳せたエドアルド・ビアンキの情熱と技術革新によって彩られています。

初期：自転車技術からオートバイへ

1885年、エドアルド・ビアンキが自転車製造を始めたことが、ビアンキ社の歴史の始まりです。彼は、自転車にエンジンを搭載するという革新的なアイデアに着目し、1887年にはオートバイの原型となる車両を製作しました。その後、1900年には自動車製造にも進出するなど、常に新しい技術に挑戦し続けました。

1903年には、エンジン搭載自転車のフレーム強化、1905年にはリーディングリンク式フロントフォークの採用など、技術的な改良を重ねていきます。そして1910年、498cc単気筒エンジンを搭載したモデルが発売され、大成功を収めます。この成功によって、ビアンキはオートバイメーカーとしての地位を確立しました。

続く1916年にはV型2気筒650ccモデルを開発し、1920年には排気量を741ccに拡大。1921年には598ccのV型2気筒モデルや新型単気筒498ccモデルも発表するなど、様々なモデルを展開しました。1923年には348ccサイドバルブ単気筒や、498cc、598ccのV型2気筒モデルが、1924年には178ccOHV単気筒モデルが登場するなど、多様なニーズに対応したラインナップを構築しました。

1937年には、SOHC単気筒ドライサンプエンジンを搭載し、シャフトドライブを採用したES250を発売。その高い品質は、ビアンキオートバイを代表するモデルとして高く評価されています。

レース活動：イタリアロードレース界での活躍

ビアンキは、オートバイ製造と同時にロードレースにも積極的に参戦しました。1925年、348ccOHV単気筒モデルをベースにしたDOHCワークスレーサーを開発。タツィオ・ヌヴォラーリなど、当時を代表するライダーたちがこのマシンを駆り、1930年までの5年間でイタリア製ロードレーサーとして最高の成績を残しました。

1930年には、498ccOHC単気筒レーサーが開発され、アルド・ピガリーニなど多くのライダーが活躍しました。さらに1938年には、498ccスーパーチャージャー付きDOHC4気筒レーサーを開発するなど、常に技術革新を追求していましたが、第二次世界大戦の勃発により開発は中断を余儀なくされました。

戦後：モペッド生産とレースへの継続参戦

第二次世界大戦後、1946年にエドアルド・ビアンキが死去すると、息子のジュゼッペが会社を継承しました。戦後もビアンキは、123ccと248ccのOHC単気筒レーサーを製造し、1950年代後半には248ccと348ccのDOHC2気筒モデルも発表。一部のモデルは498ccに排気量を拡大し、500ccクラスのレースにも参戦しました。

戦後の市販モデルには、49ccモデル、75ccのガルデナ、122ccと173ccの2ストロークモデル、173ccOHC単気筒チェーン駆動のトナーレなどがあります。革新的なデザインが特徴のモペッド、ファルコは、オーストリアのプフ社からライセンスを取得した49cc2ストロークエンジンを搭載。一人乗りと二人乗りモデルが用意され、プレス成形フレームと3速ギヤボックスによる軽快な走りが人気でした。

1961年には、イギリス人ライダーのボブ・マッキンタイヤがビアンキのマシンでロードレース世界選手権350ccクラスに参戦し、ランキング4位を獲得するなど、レース活動は継続されました。

生産終了

1967年、ビアンキはオートバイ生産を終了し、全ての権利をイノチェンティ社に譲渡しました。これにより、ビアンキのオートバイの歴史に幕が閉じられました。しかし、その技術革新とレースでの活躍は、オートバイ史に大きな足跡を残しました。

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