ビエノサウルス

ビエノサウルス（学名: Bienosaurus）は、「卞（美年）のトカゲ」という意味を持つ、中国雲南省の前期ジュラ紀に生息していたとされる恐竜です。下禄豐層下部から発見されましたが、化石の断片的な性質から、疑問名とされています。

発見と命名

1938年、卞美年（Bian Meinian）によって恐竜の頭蓋骨の断片が発見されました。2001年、董枝明はこの標本を模式種ビエノサウルス・ルフェンゲンシス（Bienosaurus lufengensis）と命名・記載しました。属名は発見者である卞への敬意を表し、種小名は化石が発見された禄豐層に由来します。

ビエノサウルスは、ホロタイプ標本IVPP V15311に基づいて記載されました（ただし、2001年の記載時には誤ってIVPP V 9612という番号が与えられています）。このホロタイプは、右下顎の一部、いくつかの歯、そして頭蓋骨の断片から構成されています。

系統分類

2001年の記載において、董枝明はビエノサウルスをスケリドサウルス科に分類しました。当初、スケリドサウルス科は曲竜類の一部と考えられていましたが、後の研究では装盾類のより基盤的な位置に属すると考えられるようになりました。

しかし、2019年の研究では、ビエノサウルスの化石が断片的であることから、疑問名であるという結論に至りました。さらに、同じ地層から産出したタティサウルス（Tatisaurus）とシノニムである可能性も示唆されています。これは、ビエノサウルスの化石とされたものが、実際にはタティサウルスのものだった、あるいは両者が同一の種であった可能性を示唆しています。

ビエノサウルスの分類は、化石の不完全さから長らく議論の対象となってきました。今後のさらなる化石の発見と研究によって、その分類上の位置づけが明確になることが期待されます。

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