ビオグラドスカー・ゴラ

ビオグラドスカー・ゴラ：モンテネグロの秘境、原生林と氷河湖が織りなす絶景

ビオグラドスカー・ゴラは、モンテネグロ北東部に位置する国立公園であり、その面積は54平方キロメートルと国内最小ながら、他に類を見ない自然の宝庫として知られています。ビェラシツァ山脈に抱かれ、タラ川とリム川に挟まれたこの地は、手つかずの原生林と氷河湖が織りなす息をのむような景観で、訪れる人々を魅了します。

多様な景観とアクティビティ

公園内には、標高2,000メートルを超える山々がそびえ立ち、その山腹には樹齢500年を超える木々が生い茂る原生林が広がります。点在する6つの氷河湖は、それぞれに異なる表情を見せ、特に公園入口近くにあるビオグラード湖は、手軽にアクセスできる人気のスポットです。観光客向けの設備も充実しており、ビジターセンター、ハイキングコース、キャンプ場、レストランなどが整備されています。

アクティビティも豊富で、ハイキング、マウンテンバイク、水泳、釣り、四輪車での探検など、様々な楽しみ方が可能です。公園入口とビオグラード湖を結ぶ観光列車が運行しており、湖ではボートや自転車をレンタルできます。

歴史と保護

1878年にコラシンがオスマン帝国から解放された後、この地はニコラ1世の所有地となり、ブラニク・クラリャ・ニコレとして保全されました。1952年にはユーゴスラビア国立公園に認定され、1977年にはユネスコの生物圏保護区に指定されています。近年では一般にも開放され、夏には避暑を求める観光客で賑わいます。

生物多様性の宝庫

ビオグラドスカー・ゴラは、その狭い面積からは想像できないほどの多様な動植物が生息しています。220種の草花、86種の樹木、150種の鳥類、10種の哺乳類、350種の昆虫が確認されており、水中には3種類のマスが生息しています。年間降水量は2,500mmに迫り、この豊富な雨量が森を育んでいます。

特筆すべきは、ヨーロッパブナ、セイヨウカジカエデ、セイヨウトネリコなどが中心となる原生林です。ユネスコは、この地を重要植物群落、重要真菌集落、重要鳥類集落に指定し、以下のように評価しています。

この地に原住した動植物が現在でも多数残っており、それらによって生態系が成立している土地である。（中略）非常に多くの種が存在し、それらが多様な生態系を生み出していることによって興味深い土地になっている。その多様性はバルカン半島のみならずヨーロッパでも有数であり（中略）ヨーロッパでは数えるほどしか残っていない原生林の一つである。

ビオグラドスカー・ゴラは、その豊かな自然と美しい景観、そして多様なアクティビティを通じて、訪れる人々に忘れられない体験を提供してくれるでしょう。

参考文献

* Official Website of Biogradska Gora National Park

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