ビザール・ラヴ・トライアングル

ビザール・ラヴ・トライアングル：ニュー・オーダーの異色のラブソング

1986年、ニュー・オーダーによって世に送り出された「ビザール・ラヴ・トライアングル (Bizarre Love Triangle)」は、バンドの代表曲として長く愛され続けている楽曲です。アルバム『ブラザーフッド』からのシングルカットとしてリリースされ、その独特の世界観とサウンドでリスナーを魅了しました。

シングルリリースとリミックス

この曲は、シングル盤と12インチシングル盤でリリースされました。12インチバージョンでは、後に「トゥルー・フェイス」でもリミックスを手掛けることになるシェップ・ペティボーンによるリミックスが収録されており、原曲とは異なる魅力的なアレンジが聴けます。ファクトリー・レコードからのリリースで、カタログ番号はFAC 163です。

チャート成績は、イギリスでは最高56位とやや控えめな結果に終わりましたが、アメリカではカップリング曲「ステイト・オブ・ザ・ネイション」とのシングル盤がダンスチャートで最高4位を記録するなど、高い評価を得ました。

ロバート・ロンゴ監督による衝撃的なプロモーションビデオ

「ビザール・ラヴ・トライアングル」のミュージックビデオは、現代美術家として名高いロバート・ロンゴが監督を務めました。彼はウィリアム・ギブスン原作の映画「JM」の監督も務めた人物です。

ビデオの内容は、独特で印象的です。サビの部分では、スーツ姿の男女が青い空を背景に、まるで浮遊するかのように宙を舞い、落下していくシーンが描かれています。また、映画のワンシーンのような男女の言い争いの場面も挿入されており、全体としてシュールで、そしてどこか切ない雰囲気を醸し出しています。

音楽評論家のピーター・バラカンはこのプロモーションビデオを絶賛しました。ニューオーダーの演奏能力について言及しつつも、ビデオそのものの芸術性と斬新さを高く評価したと伝えられています。

日本でのリリースと収録曲

日本では、当時ファクトリー・レコードの販売を行っていた日本コロムビアから12インチシングル盤のみがリリースされました。A面には「ビザール・ラヴ・トライアングル」本編、B面にはそのダブバージョンである「ビザール・ダブ・トライアングル」が収録されています。それぞれ6分44秒、7分00秒の長尺トラックです。

カバーと評価、そして現代への影響

「ビザール・ラヴ・トライアングル」は多くのアーティストによってカバーされており、その楽曲の普遍的な魅力が示されています。2005年にはニューオーダーのベスト・アルバム『シングルズ』に、リチャードXによるリミックスバージョンがボーナストラックとして収録されました。さらに、『ローリング・ストーン』誌が選定する「最も偉大な500曲」（2021年版）では220位にランクインするなど、現代においても高く評価されています。

この曲は、その独特なサウンド、印象的なミュージックビデオ、そして時代を超えて愛され続ける普遍的な魅力により、ニューオーダーの代表曲として、そして音楽史においても重要な一曲として位置づけられています。その複雑で魅力的なラブストーリーは、聴く者の心を今も捉え続けています。

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