ビジネスワイヤ

ビジネスワイヤ（Business Wire）は、世界中の企業が自社のニュースリリースや重要情報を、幅広いターゲット層に迅速かつ効率的に配信するための専門的な通信サービス企業です。その最大の特徴は、世界全域をカバーする広範な配信ネットワークを有している点にあります。企業から提供された情報は、世界中のメディア、金融市場関係者、財務情報の情報開示システム、個人・機関投資家、さらには主要なポータルサイト、各種ウェブサイト、専門データベースなど、多様なチャネルへと同時かつタイムリーに届けられます。

この高精度な配信を支えるのが、同社が米国特許を持つ独自のニュース配信プラットフォーム「NX」です。このシステムを通じて、企業ニュースは業界標準であるXML/NewsML形式に変換されます。標準化されたデータは、AP通信（Associated Press）、フランス通信（Agence France-Presse）、ブルームバーグ（Bloomberg）、ダウ・ジョーンズ（Dow Jones）、ロイター（Reuters）といった、世界有数の通信社を含む60社以上の提携パートナーを経由し、世界中のメディアのニュースルームへ直接送信される仕組みになっています。これにより、情報の正確性と迅速な普及が図られています。

また、ウェブ上での情報公開にも力を入れています。ビジネスワイヤを通じて配信されたニュースリリースは、写真やマルチメディア要素を含めた「Smart News Releases」として、Yahoo! Financeをはじめとする主要な情報ウェブサイトにも掲載されます。企業やメディア関係者は、ビジネスワイヤから直接ニュースフィードを受け取ることも可能です。さらに、ビジネスワイヤの公式ウェブサイトで無料ユーザー登録を行うことで、自身の関心や必要性に応じてカスタマイズされたRSSニュースフィードを利用したり、ジャーナリストであればウェブサイトのニュース表示をパーソナライズしたり、興味のある分野のリリースをEメールで受け取る設定ができます。

特に、ビジネスワイヤは企業の情報開示において重要な役割を果たしています。アメリカ（ニュース配信およびEDGARファイリング関連サービス）、イギリス（金融庁サービスに対応）、フランス、ドイツ、ルクセンブルク、オランダ、スウェーデン、スイスなど、主要な金融市場を持つ国々において、情報開示に関する公認ニュースワイヤとしての地位を確立しています。これにより、上場企業がビジネスワイヤを利用してニュースリリースを配信することは、多くの場合、法的に定められた財務情報開示義務の要件を満たしたものと見なされます。また、配信されたニュースリリースの全文は、主要な機関投資家および個人投資家向けのデータベースへ直接送られるため、投資家コミュニティへの情報アクセスを容易にしています。

ビジネスワイヤの歴史は、現会長であるロリー・ロウキー氏によって1961年10月2日に創立されたことに始まります。創立から長年にわたり事業を拡大し、2006年時点では約500名の社員を擁していました。事業の発展における特筆すべき出来事として、1995年5月には業界に先駆けて、顧客企業のニュースリリースを掲載したウェブサイトを開設し、オンライン情報配信の基盤を築きました。さらに、2006年には著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイによる買収が発表され（買収価格は非公表）、同年3月1日に手続きが完了しました。また、同年9月27日にはVocus, Inc.との戦略的提携を締結し、検索エンジン最適化（SEO）やソーシャルメディアへの配信機能を強化した「EON:Enhanced Online News」サービスの提供を開始するなど、常に時代の変化に対応しながらサービスを進化させています。

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