ビストリツァ

ビストリツァ

ビストリツァ（ルーマニア語: Bistriţa、ドイツ語: Bistritz、ハンガリー語: Beszterce）は、ルーマニア北部のトランシルヴァニア地方に位置する都市で、ビストリツァ＝ナサウド県の県都です。この町は、トランシルヴァニア高原の北東部に広がるビストリツァ川の谷間に位置し、川が市内を貫流しています。

歴史

ビストリツァには新石器時代から続く人類の居住跡があり、12世紀にはクマン人の侵攻を受けたペチェネグ族の定住が見られました。1206年以降、トランシルヴァニア・ザクセン人の移住が始まり、「ジーベンビュルゲン」（七つの要塞都市）の一つとして中世には重要な交易の拠点に成長しました。1330年に都市としての位置づけが確立され、1353年には年に15日間の市を催す権利を獲得しました。

1465年頃には、地元のギルドにより守られた防御用の18の塔や砦が町に設けられ、また、要塞化された教会も防御の一助となっていました。ビストリツァがルーマニア領と認められたのは、第一次世界大戦後の1919年でしたが、第二次世界大戦中には1940年から1944年の間にハンガリー領に帰属しました。その後、ザクセン人住民はロシアによって追放され、多くはドイツやオーストリアに移住しましたが、少数は故郷に戻る選択をしました。ただし、1989年の革命以降、帰還した住民の多くが再び移住を選んでいます。

人口

現在のビストリツァの人口は約82,400人で、主な民族構成はルーマニア人が90.2%、次いでマジャル人が6%、ロマ人が3.6%を占めています。ドイツ人の割合は移住により0.2%にまで減少してしまいました。

交通

ビストリツァにはトランシルヴァニアとモルドヴァを結ぶ欧州自動車道路E58（国道DN17）が通っており、主要な交通路の一つとなっています。鉄道においては、ブカレスト行きの夜行列車やクルージュ＝ナポカへの接続があり、都市間のバス交通も充実していて、トランシルヴァニア各地へのアクセスが容易です。

観光

ビストリツァには多くの観光名所があり、特に福音教会（Biserica Evanghelică）はその歴史的意義から注目されています。初めはロマネスク様式で建設され、後にゴシック様式で改築されました。高さ75mの塔は1487年から1519年の間に建設され、1559年から1563年の間にルネサンス様式への改造が行われました。近年では、1998年に修復されましたが、2008年に発生した火災により塔と屋根に損傷がありました。

また、ビストリツァ要塞（Cetatea Bistriţei）は15世紀から16世紀にかけて築かれ、いくつかの塔が今も残っています。ビストリツァ＝ナサウド県立博物館やアンドレイ・ムレシャヌの生家も訪れる価値があります。

スポーツと文化

ビストリツァにはプロサッカークラブCFグロリア・ビストリツァがあり、地域のスポーツ活動も活発です。また、著名な出身者には詩人アンドレイ・ムレシャヌがいて、彼はルーマニア国歌「目覚めよ、ルーマニア人!」の作詞者として知られています。

その他

小説『吸血鬼ドラキュラ』の中で、主人公のジョナサン・ハーカーはビストリツァの「金の冠」ホテルに宿泊しています。この小説が執筆された当時には存在しなかったホテルですが、後に観光地として建設されました。

姉妹都市

ビストリツァは文化的交流を深めるため、複数の都市と姉妹都市関係を結んでいます。イタリアのラクイラ、フランスのブザンソン、ポーランドのジェロナ・グラ、アメリカ・ジョージア州のコロンバス、ドイツのヘルツォゲンラトがその仲間です。

もう一度検索