ラクイラ

ラクイラ：歴史と文化が息づく山岳都市

ラクイラは、イタリア中部の山岳地帯に位置するアブルッツォ州の州都であり、その歴史は13世紀にまで遡ります。アペニン山脈の盆地に位置し、標高714メートルというイタリアの州都の中で最も高い場所にあります。この地理的な特徴から、自然豊かな景観と、歴史的な建造物が調和した美しい街並みが広がっています。

歴史

1254年に都市として創建されたラクイラは、当初「アクイラ」（ワシの意）と呼ばれていました。シチリア王コッラード1世によって都市の勅許が与えられ、中世にはシチリア王国、そしてナポリ王国の支配下で自治都市として繁栄しました。伝説によると、99の村が集まって都市を形成したとされ、各村が独自の区画を持ち、都市に統合されてからもその繋がりを保っていたと言われています。中世から経済的に重要な都市でしたが、16世紀に衰退期を迎えました。

地理と周辺地域

ラクイラは、ラクイラ県の北部に位置し、アペニン山脈の盆地に広がっています。周辺には、アントロドーコやバレーテなど、多くのコムーネ（基礎自治体）が点在しています。これらのコムーネは、それぞれが独自の文化や歴史を持ち、ラクイラと密接に結びついています。

地震の歴史

ラクイラは、過去に何度も地震に見舞われてきました。特に1703年の地震は壊滅的な被害をもたらし、3700人から10000人もの犠牲者を出しました。この地震により、コッレマッジョ大聖堂をはじめとする歴史的建造物が大きな損傷を受けました。また、この地震をきっかけに、サンタ・マリア・デル・スフラージョ教会が建設されました。

2009年には、ラクイラ地震が発生し、308人の死者を出すという大きな被害を受けました。この地震からの復興支援のため、主要国首脳会議（サミット）が急遽ラクイラで開催されることになりました。この出来事は、ラクイラが国際的な注目を集めるきっかけとなりました。

文化と観光

ラクイラは、今日では観光都市として知られています。ロマネスク様式のコッレマッジョ大聖堂、ルネサンス様式のサン・ベルナルディーノ聖堂、中世の99の噴水、スペイン要塞など、多くの歴史的な観光スポットが存在します。これらの観光名所は、ラクイラの長い歴史と文化を物語っています。また、ラクイラの母胎となった数々の村も観光資源としての価値が高く、訪れる人々を魅了しています。さらに、地震後に坂茂によって建設された紙管の音楽ホールは、復興のシンボルとして、現代的な建築物も魅力の一つとなっています。

食文化と方言

ラクイラでは、「キタッラ」と呼ばれる独特なパスタ料理が親しまれています。また、ラクイラ方言という独自の言語が話されており、この方言は周辺地域にも影響を与えています。

姉妹都市

ラクイラは、ドイツのロットヴァイル、カナダのヨーク、スペインのクエンカ、オーストラリアのホバートなど、世界中の都市と姉妹都市提携を結んでいます。これらの交流を通じて、ラクイラの文化は国際的な広がりを見せています。

スポーツと人物

ラクイラは、ラクイラ・ラグビーというラグビーチームが有名で、過去には伊藤宏明選手も所属していました。また、オペラ歌手のナッツァレーノ・デ・アンジェリスやジャーナリストのブルーノ・ヴェスパなど、多くの著名な人物を輩出しています。

ラクイラは、歴史、文化、自然が融合した魅力的な都市であり、訪れる人々に深い感動を与えます。地震からの復興を遂げたラクイラは、その歴史と文化を次世代へと繋げていくことでしょう。

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