ビッグサウンズスペシャル

ビッグサウンズスペシャル

「ビッグサウンズスペシャル」は、文化放送が企画・制作し、主にNRN系列の各ラジオ局へネットされていた音楽番組です。この番組は、プロ野球の公式戦が予定されていない日や、雨などの悪天候によって試合が中止になった際の「雨傘番組」として機能していました。放送期間は2009年度まででした。

番組の進行役は、文化放送のアナウンサーであった吉田涙子が主に担当しました。

番組の歴史と変遷

文化放送におけるプロ野球ナイター中継の歴史は古く、その初期から雨天中止時の代替番組は存在していました。当時は、別所毅彦や豊田泰光といった野球解説者と文化放送のアナウンサーが共に進行する形式の番組が見られました。例としては、「べーやん・荒さんのプロ野球言いたい放題」や「別所講談・男の60分」などが挙げられます。

その後、18時台には野球の討論や情報を生放送する「プロ野球ホットライン」のような番組が編成され、19時以降の時間帯では歌謡曲や演歌、懐メロなどを取り上げる「全日本演歌選抜」や「ビッグサタデー（サンデー）スペシャル」といった音楽番組が放送されることもありました。この時期には、桂竜也をはじめとする男性アナウンサーがパーソナリティを務めることが多かったようです。

2001年からは、月曜日にも雨傘番組を放送するようになったことに伴い、番組名が「ビッグサウンズスペシャル」に変更されました。その後、18時台を含めた3時間連続のワイド番組体制となりました。雨天コールドによる途中終了や、他の番組編成による飛び乗り・飛び降りに柔軟に対応するため、番組は「フォーマットラジオ」に近いスタイルを採用していました。これにより、1時間ごとに音楽のテーマを変更し、それぞれの時間帯の始まりと終わりで挨拶を入れる構成が取られました。

主な番組構成

3時間編成となった「ビッグサウンズスペシャル」は、時間帯によって異なる音楽テーマが設けられていました。

18時台: 最新のヒット曲から懐かしのメロディまで、様々な楽曲を続けて流す時間でした。特に18時30分頃までCMが入らない構成は、NRNナイターの途中飛び乗りにも対応するための配慮でした。
19時台: 特定の一人のアーティストやグループに焦点を当て、その魅力を深く掘り下げる特集コーナーが組まれました。
20時台: 多様なテーマに基づいた選曲で、幅広い音楽を提供しました。

特記事項とネット局の状況

国際的なスポーツイベント（シドニー・北京オリンピック、FIFAワールドカップ、ラグビーワールドカップなど）の中継編成により、文化放送で本番組を放送できない場合でも、NRNネット局向けに「裏送り」という形で放送されることがありました。

番組内で使用されていたCMフィラー曲は、SweetPeopleの「LakeComo」でした。これは「ビッグ・サタデースペシャル」や「ビッグ・サンデースペシャル」時代から引き継がれたものでした。

関西地方におけるネット状況は複雑な変遷をたどりました。1976年まではMBSラジオで放送されていましたが、MBSが日曜のNRNナイターネットを取りやめたため、1977年から2007年まではラジオ大阪にネットされました。しかし、ラジオ大阪も2007年限りで全曜日のナイター放送を終了。2008年・2009年は再びMBSラジオがネット担当となりましたが、MBSの編成方針（自社制作番組優先）により、この番組を聴取できる機会は事実上限定されました。その後、2010年にTBSラジオが週末ナイターから撤退した影響で、2010年からはABCラジオが担当するようになりました。ただし、ABCラジオでの放送は、時期や曜日によって不定期となるなど変動がありました。中国放送のように、通常はJRNネットながら、NRN独占カード開催時にNRNネットに切り替える際に本番組が放送されるケースもありました。

例外的な編成

2007年や2009年には、野球中継がない日に、文化放送とNRNネット局で異なる内容の番組を放送する事例がありました。例えば2009年5月10日には、文化放送では吉田涙子アナの番組ではなく別の特別番組が放送され、STVラジオや東海ラジオでは吉田涙子アナが司会を務める「ビッグサウンズスペシャル」の裏送り版が放送されました。また、5月31日にも同様に文化放送で特別な番組が組まれ、STVラジオや東海ラジオには別途本番組が裏送りされました。

番組終了後

2010年度からは、「ビッグサウンズスペシャル」に代わる週末の雨傘番組として、ナイターオフ番組「センパツ！」のスペシャル版である「センパツ！ スペシャル」がスタートしました。これも主に吉田涙子アナが進行を務め、NRNナイターネット加盟局の一部にネットされました。これは、TBSラジオが週末ナイター放送を原則廃止したことにより、NRNネットに加わった地方局への対応が必要となったためです。

その後、番組名は「センパツ！」から「セットアップ」へと変更され、雨傘番組枠は「セットアップスペシャル」となるなど変遷しました。しかし、文化放送自身の週末ナイター編成が縮小・廃止されていく中で、本番組やその流れを汲む雨傘番組が文化放送で放送されないまま、NRNネット局へ裏送りされるケースが増えました。特に2013年度以降は、文化放送での日曜ナイター定時編成がなくなり、雨傘番組としての放送は土曜日のみとなりました。

吉田涙子アナウンサーは2013年度をもってアナウンス部から異動したため、この雨傘番組の担当を離れました。その後、一時期は寺島尚正アナウンサーが担当予定となるも放送機会がなく、2015年からは竹内靖夫アナウンサーが担当しました。さらに2019年からは、週末のナイター定時編成が廃止されつつもNRNナイターの制作自体は続いている中で、砂山圭大郎アナウンサーが雨傘番組のパーソナリティを務めるようになり、現在に至ります。

関連番組

文化放送ホームランナイター
* サウンドコレクション（ニッポン放送制作の同種の雨傘番組）

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