ビッグ・イエロー・タクシー

「ビッグ・イエロー・タクシー」（Big Yellow Taxi）は、カナダ出身のシンガーソングライター、ジョニ・ミッチェルによって作詞作曲され、1970年に発表された楽曲です。この曲は、環境問題や都市化の影響をテーマにしており、自然環境がどのように損なわれているかを鋭く描写しています。特に、ミッチェルの歌詞には、豊かな自然が失われていくことに対する悲しみと警鐘が込められています。

ミッチェルは、1969年11月29日のマサチューセッツ州ウースターでのコンサートで、この曲のテーマについて次のように語りました。彼女は、自然と人間生活のバランスを考えさせるような場面を描き出し、多くの聴衆に強いメッセージを伝えたといいます。

レコーディングとリリース

「ビッグ・イエロー・タクシー」は、ロサンゼルスのA&Mスタジオでレコーディングされました。1970年 4月にリリースされた彼女の3枚目のアルバム『レディズ・オブ・ザ・キャニオン』に収録され、同時にシングルA面として発表されました。シングルのB面には、彼女の代表曲「ウッドストック」が収録されていました。この曲は、ミッチェル自身が録音した楽曲の中で最初にヒットを記録したシングルとなり、ビルボード・Hot 100では67位を達成しました。また、ビルボードのイージーリスニングチャートでは33位、カナダでは14位、オーストラリアでは6位、イギリスでは11位、オランダでは19位を記録するなど、広く受け入れられました。

ライブパフォーマンスと他のバージョン

この楽曲には、多くのライブパフォーマンスや異なるバージョンが存在します。1970年8月には第3回ワイト島音楽祭でのライブ録音が行われ、これが映画『Message to Love: The Isle of Wight Festival 1970』に収められました。また、ミッチェルの演奏全12曲が収められたブルーレイ/DVD『Both Sides Now - Live at The Isle of Wight Festival 1970』も、2018年9月にリリースされています。

さらに、1970年9月3日にBBCテレビジョン・センターでのライブ版もあり、放映日は10月9日でした。また1970年10月16日にはバンクーバーでのパフォーマンスが録音され、ミッチェルとジェームズ・テイラー、フィル・オクスの共演がアルバム『アムチトカ』に収録されています。1944年のライブ・アルバム『マイルズ・オブ・アイルズ』にも収められ、1984年にシングルカットされると、ビルボード・Hot 100で24位を記録しました。

カバー・バージョン

「ビッグ・イエロー・タクシー」は、非常に多くのアーティストにカバーされています。1970年にはザ・ネイバーフッドがシングルをリリースし、全米で29位を記録しました。フランスのジョー・ダッサンは、1970年のアルバム『Joe Dassin』にこの曲のフランス語詞版「Le grand parking」を収録しました。また、ボブ・ディランは、1973年のアルバム『ディラン』にこの曲を収録し、オリジナルの歌詞を一部改変して歌っています。

他にも、五輪真弓やエイミー・グラント、カウンティング・クロウズなど、多くのアーティストがこの曲を自身のスタイルでアレンジしています。特に、カウンティング・クロウズのバージョンにはヴァネッサ・カールトンが参加しており、幅広い世代のファンに愛されています。

サンプリング

この曲は、サンプリングされることも多く、1997年にはジャネット・ジャクソンが「ゴット・ティル・イッツ・ゴーン」でこの楽曲の要素を取り入れています。ジャンルや時代を超えて影響を与え続ける「ビッグ・イエロー・タクシー」は、単なる音楽の枠を超え、環境問題について考えさせる重要な作品として位置づけられています。

このように、「ビッグ・イエロー・タクシー」は、ジョニ・ミッチェルのアーティストとしてのスタンスを示し、音楽界における重要なメッセージを伝える楽曲として、今も多くの人々に親しまれています。

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