ビット・ザ・キューピッド

ビット・ザ・キューピッド：日本初の連続CGアニメーション

1995年4月20日から1996年3月28日にかけて、テレビ東京系列で放送された『ビット・ザ・キューピッド』。全48話、1話15分のこの作品は、日本で制作された連続CGアニメーションとしては最初の作品という歴史的意義を持っています。

ギリシャ神話とオリジナルストーリーの融合

本作の世界観はギリシャ神話をベースにしています。ゼウス、ヘラといった主要な神々をはじめ、ミダス王の黄金の触れ、メデューサ、シシュポスの岩といったギリシャ神話にまつわるエピソードが登場します。しかし、多くのストーリーはオリジナルで、神話要素と独自の物語が巧みに融合しています。興味深いことに、ヴィーナスやマルスなど、ローマ神話の名前を持つキャラクターも登場します。

いたずら好きのキューピッド、ビットの活躍

主人公は「ビット」という名前のキューピッド。情報量の単位にちなんだ名前を持つ彼は、妖精トゥインカーが描いた絵を機械に放り込んだことで誕生した、いたずら好きな存在です。ビットの様々な騒動に、トゥインカーはいつも振り回されることになります。この二人の掛け合いが、物語の中心となっています。

スタッフとキャスト

豪華なスタッフ陣と、実力派声優陣による熱演も本作の魅力です。監督は小華和ためお氏、企画には櫻井尚氏（アミューズ）、田代敦巳氏、そして数々のベテランスタッフが参加。キャラクターデザイン・総作画監督には岡田敏靖氏、音楽には鈴木豪氏と服部隆之氏といった、各界の第一人者が名を連ねています。

声優陣も、渕崎ゆり子氏（ビット）、西村ちなみ氏（トゥインカー）、緒方賢一氏（ゼウス）、佐々木優子氏（ビーナス）、横尾まり氏（ヘラ）など、数多くのベテラン声優が個性豊かなキャラクターを演じています。特に、声優の倉田雅世氏にとって本作はデビュー作であり、注目すべき点です。

制作の舞台裏：革新的な技術と社会貢献

『ビット・ザ・キューピッド』は、技術面でも画期的でした。制作にはPRISMSというシステムが使用され、デジタル彩色は北海道岩見沢市の社会福祉法人岩見沢緑成園（現・社会福祉法人クピド・フェア）が行われました。同園は障害者授産事業としてコンピューターシステム開発事業を手がけており、マルチメディアコンテンツ制作事業への転換を模索していた中で、本作の彩色を担当することになったのです。

岩見沢緑成園の障害者職員11名と地元採用職員9名で構成されたチームは、Photoshopを用いて1日あたり300枚もの彩色をこなしました。東京のグループ・タック、札幌のビー・ユー・ジー社との連携を通して、データのやり取りを行い、完成へと導きました。この取り組みは、障害者雇用促進という社会貢献の側面も持ち合わせています。

本作は、彩色部分を中心にCG技術が用いられていますが、3次元でモデリングされたキャラクターや、CGで制作された背景の動きなど、CGの可能性を最大限に引き出した演出も見られます。また、彩色後に輪郭線をすべて消すという、独特の表現手法も特徴的です。

関連商品と主題歌

[1996年]]にはVHSビデオが発売されましたが、現在は廃盤となっています。また、オリジナルサウンドトラックCDもリリースされており、作品の世界観をさらに深く楽しむことができます。主題歌も魅力的で、OPテーマにはCHAR]＆ANN LEWISによる「GOAL OF LOVE」、[[Hiromiによる「立入禁止」、EDテーマにはピンキーピンキーによる「BLUEBERRY PASSION」など、多彩な楽曲が作品を彩っています。

まとめ

『ビット・ザ・キューピッド』は、日本におけるCGアニメーションの歴史に大きな足跡を残した作品です。ギリシャ神話を題材とした独特の世界観、魅力的なキャラクター、そして先進的な技術と社会貢献の取り組みは、日本のアニメーション史において重要な位置を占めています。現在では入手困難な作品ではありますが、その革新性とエンターテイメント性は、多くのアニメファンを魅了し続けています。

もう一度検索