ビデ

ビデとは

ビデ（仏: bidet）は、主に下半身を洗浄するための器具です。足を含めた下半身や清掃用具などを洗う目的で使用されます。南ヨーロッパ、特にイタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャなどで一般家庭のバスルームに設置されており、日常生活において重要な役割を果たしています。

歴史

ビデは17世紀にフランスで家具職人によって考案されたと考えられています。初期のビデは木製で、椅子のような形状をしており、移動可能で寝室などに置かれていました。その後、上下水道が整備されるにつれて、バスルームに固定式のものが設置されるようになりました。

洋式便器とは逆向きに跨って使用されることが一般的で、この使用法と形状から、フランス語で「子馬」を意味する「ビデ」という名称が付けられました。

17世紀頃からイタリアで普及し始め、南ヨーロッパへと広まりました。特にイタリア、スペイン、ポルトガルでは1975年にビデの設置が義務付けられ、現在では高い普及率を誇っています。南欧周辺国であるフランスやドイツ、東欧諸国、さらには南米でも普及が見られます。また、同様の洗浄用途としてビデ・シャワーも存在し、東南アジア、インド、イスラム圏、北欧のフィンランドやエストニアなどで利用されています。

形状

ビデの形状は、洋式便器から便座と蓋を取り除いたような形をしています。洗浄方法には、水を溜めて手で肛門や性器を洗うタイプと、上向きの水栓から水やお湯が出て直接洗浄するタイプがあります。

誤解

女[[性器]]を洗浄する目的から、避妊効果があると誤解されることがありますが、ビデには避妊効果は一切ありません。

日本での広まり

日本でビデが広まったのは、温水洗浄便座が普及した1980年代以降です。それ以前にも一部のシティホテルには設置されていましたが、多くの日本人はその用途を知らず、風呂上がりに口をすすいだり、小便器と間違えたりするケースがありました。当時のホテル専門誌や案内本では、これらの誤用に対する注意喚起が行われていました。

漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』では、両津勘吉がイタリア旅行中にホテルのビデを噴水型の顔洗い機と勘違いして顔を洗うエピソードが描かれています。

温水洗浄便座

現在広く普及している温水洗浄便座には、「ビデ」という名称の洗浄機能が搭載されていることが多いです。しかし、これは本来のビデとは目的が異なり、主に小用後の女[[性器]]を洗浄するための機能です。もちろん、本来の目的で使用することも可能ですが、外[[性器]]の洗浄に留まり、内性器の洗浄は形状的に困難です。TOTOやLIXILなどのメーカーでは、生理時などに局部周辺の汚れを洗浄する機能として提供されています。

歴史的背景

風呂、トイレ、水道設備が十分に普及していなかった時代、西欧（スイス、フランスなど）では、排便後の肛門や排尿・性交後の性器を清潔に保つために、男女ともにビデが使用されていました。風呂や便器が進歩した現代でも、ホテルなどではビデが設置されていることがあります。また、共同トイレを使用する宿泊施設では、各部屋にビデが設置されている場合もあります。

携帯用ビデ

膣内部の洗浄を目的とした携帯用ビデも市販されています。

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