ビブリオマニア

ビブリオマニアとは

ビブリオマニア（英: bibliomania）は、書籍収集に関する強迫的な行動が特徴の一種の強迫性障害です。この状態は、収集した書籍が本人にとって意味がない場合や、他の収集家が価値を認めないような書籍でも収集することが多いです。通常の趣味としての書籍愛好はビブリオフィリアと呼ばれ、心理的な健康を保ちながら書籍を楽しむこととは異なります。ビブリオマニアは、過度の書籍収集が本人の健康や社会生活に悪影響を及ぼす状況を指します。

ビブリオマニアの特徴

ビブリオマニアの人々は、同じ書籍や同じ版を何冊も購入したり、実際に読んだり使ったりする目的を超えて書籍をため込んだりします。こうした行動は、しばしば心理的な苦痛を伴うことがありますが、アメリカ精神医学会が発行するDSM-IVでは精神病として認識されていません。

この言葉を初めて使ったのは、19世紀初頭のマンチェスター王立病院の医師ジョン・フェリアーです。彼は、ビブリオマニアの典型的な事例として友人リチャード・ヒーバーを詩の中に紹介しました。これ以降、「ビブリオマニア」という表現は、定期刊行物や文学作品で頻繁に使用されるようになりました。

歴史と文学

1809年には、トマス・フログノール・ディブディンが著書『Bibliomania; or Book Madness』を出版し、ビブリオマニアの症状やそれに関連する書誌の多様性について言及しました。その中には、「アンカット本」「初版本」「発禁本」などへの強い執着が示されており、これらの要素がビブリオマニアの一端を形成しています。ディブディンの著作は、書籍の収集やその歴史の文脈で重要な位置を占めており、他の文献を通じてもこのテーマは語られ続けています。

19世紀後半には、書籍収集が高い評価を受け、著名な収集家たちが好事家として名を馳せるようになりました。その中で、ホルブルック・ジャクソンが『The Anatomy of Bibliomania』という書籍を発表し、より詳細にこの行動様式を探求しました。

ビブリオマニアの著名人

ビブリオマニアとされる有名な人物も多く存在します。たとえば、スティーヴン・ブラムバーグは約530万ドルの価値がある書籍を盗んで有罪となりました。また、初代準男爵トーマス・フィリップスは、収集した書籍や手稿が16万点に上り、彼の死後も百年以上にわたって競売が続くことになりました。

イングランドの書籍収集家リチャード・ヒーバーは、持っていた膨大な蔵書のために領地の大部分を抵当に入れるほどの情熱を見せました。そして、19世紀の牧師であるW・F・ウィッチャーは、稀覯本を盗み、その後製本を行い、「発見」したと主張していました。

これらの事例は、ビブリオマニアの深刻さと過剰な書籍への執着がもたらす影響を物語っています。

まとめ

ビブリオマニアは、書籍への異常な執着が引き起こす健康や社会への影響を含む、深刻な心理的問題です。過去の著名な収集家たちを通じて、その影響や社会的な見解は多様であり、書籍収集が嗜好の範囲を超えてしまうこともあるのです。

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