ビュイック・パークアベニュー

ビュイック・パークアベニュー

ビュイック・パークアベニューは、アメリカ合衆国の自動車メーカーであるGM（ゼネラルモーターズ）が製造し、その高級車部門であるビュイックブランドから展開されていたフルサイズセダンです。その名称は、ニューヨークのパーク街（Park Avenue）に由来しており、ビュイックのラインナップにおける上級モデルとしての位置づけを示唆しています。パークアベニューは、その歴史の中で、主に北米市場で展開され、後には中国市場専用モデルとして新たな展開を見せました。

初代 (1991-1996年)

パークアベニューという名称は、元々ビュイックの長寿モデルであったエレクトラの派生グレード名として使用されていましたが、1990年7月、そのエレクトラの後を継ぐ独立したモデルとして、初代パークアベニューが市場に投入されました。これにより、パークアベニューは名実ともにビュイックの最上級セダンとしての地位を確立しました。広々とした室内空間と、ビュイック伝統の快適な乗り心地を特徴とし、当時のアメ車らしいゆったりとしたボディサイズを持っていました。特に、日本市場においては、長年にわたりアメリカ車の正規輸入・販売を手掛けていたヤナセが輸入販売を担当し、日本国内でもその姿を見ることができました。

2代目 (1996-2005年)

1996年10月、パークアベニューはフルモデルチェンジを実施し、2代目へと進化しました。初代のデザインテイストを踏襲しつつ、内外装の洗練が進み、シャシー性能や安全装備なども現代化されました。この2代目は、比較的長いモデルライフを送り、ビュイックの主力高級セダンとして、主に北米を中心に展開されました。安定した販売を続ける中で、ビュイックブランドの再編に伴い、2005年に生産および販売を終了しました。その役割は、新たに登場したビュイックのフルサイズセダンであるルサーンへと引き継がれることになります。

3代目 (2007-2012年)

2代目が生産を終了した後、北米市場ではパークアベニューの名は一旦途絶えましたが、2007年4月、予期せぬ形で3代目が登場します。しかし、この3代目は従来の北米市場向けではなく、急速に成長する中国市場専用モデルとして企画・開発されました。中国市場におけるビュイックの既存高級セダン、ロイアムの後継という位置づけで市場に投入されたのです。製造および中国国内での販売は、GMと中国の上海汽車工業総公司との合弁会社である上海GMが担いました。この3代目パークアベニューは、オーストラリアのホールデンが開発し、GM大宇でもベリタスとして展開されていたグローバルなリア駆動プラットフォームを基盤としていました。中国市場の顧客の嗜好に合わせて、その内外装や装備が調整されており、現地での高級セダンとしての需要に応えました。3代目パークアベニューは、中国市場での販売を続け、2012年に生産を終えました。

まとめ

ビュイック・パークアベニューは、1990年代から2010年代初頭にかけて存在したビュイックのフルサイズ高級セダンであり、エレクトラ後継としての初代、北米での主力モデルとなった2代目、そして中国市場専用モデルとして復活した3代目と、世代ごとに異なる背景と役割を持って展開された興味深いモデルと言えるでしょう。

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