ビュール高原電波干渉計

ビュール高原電波干渉計（Plateau de Bure Interferometer、略称PdBI）は、フランスのビュール高原の標高2550mに位置する電波干渉計です。ミリ波電波天文学研究所（IRAM）によって運営されており、ミリ波帯の観測に特化しています。

その高い性能から、天文学研究において重要な役割を果たしてきましたが、機能拡張に伴い、現在はNOEMA (Northern Extended Millimeter Array)という名称で運用されています。

ビュール高原電波干渉計（PdBI）の特徴

PdBIは、口径15mのパラボラアンテナを6台備えた電波干渉計です。これらのアンテナは、3mm、2mm、1.3mmの波長帯での観測を可能にします。東西760m、南北368mのT字型に配置されたレール上を移動することができ、アンテナの配置を調整することで、観測の分解能を変化させることができます。特に1.3mm波長での観測では、最高で0.5秒角という非常に高い角分解能を実現できます。

この高い観測能力を活かして、世界中の天文学者が研究のため、観測提案を年に2回提出することが可能です。PdBIは、1985年に建設が開始され、1988年には3台のアンテナを用いて最初の干渉画像合成に成功しました。当時の基線長は最大で288mでしたが、その後拡張を続け、2005年までにはアンテナは6台に増強され、レールも760mまで延長されました。

各アンテナは主に炭素繊維で作られており、主鏡面の面精度は約60マイクロメートルと非常に精密です。この精度が、高感度な観測を支えています。

NOEMAへの進化

PdBIは、その後、さらなる性能向上を目指し、アンテナの増設とアンテナ間隔の拡大を行うプロジェクトが進行しました。その結果、2014年9月に7台目のアンテナが設置されたことを機に、望遠鏡の名称はNOEMA（Northern Extended Millimeter Array）へと変更されました。2017年現在、NOEMAは9台のアンテナ（いずれも口径15m）を擁し、アンテナ間の最大距離は760mに達しています。

NOEMAは最終的には、PdBI時代の2倍にあたる12台のアンテナで運用される予定です。この拡張により、さらなる観測能力の向上が期待されています。

関連情報

天文学:
電波天文学

望遠鏡:
電波望遠鏡
電波望遠鏡一覧

その他の電波干渉計:
CARMA（Combined Array for Research in Millimeter-wave Astronomy）: アメリカ合衆国カリフォルニア州にあるミリ波干渉計。
野辺山宇宙電波観測所: 日本の長野県にある国立天文台の電波天文台。かつては野辺山ミリ波干渉計が稼働。
アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計（ALMA）: チリに建設中のミリ波サブミリ波を観測できる電波干渉計。

外部リンク

IRAM: ミリ波電波天文学研究所の公式サイト。
About the IRAM Interferometer: IRAM干渉計についての情報。
* An Introduction to the IRAM Plateau de Bure Interferometer: ビュール高原電波干渉計の紹介記事。

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