ビョーン・エイリク・オルセン

ビョーン・エイリク・オルセン（Björn Eirik Olsen、1955年 - ）は、ノルウェー出身の水産学者であり、経営学者です。彼は、元駐日ノルウェー大使館員として、日本におけるノルウェーサーモンの普及に大きく貢献し、「サーモン寿司の発明者」とも呼ばれています。

学歴と初期のキャリア

オルセンは、トロムソ大学水産大学部門、オスロ大学政治学部、そしてノルウェー経済大学戦略経営学部で学びました。1980年前後にはロンドン、福岡、大阪に居住し、1982年から1984年まで大阪で養殖の研究に従事しました。

「プロジェクト・ジャパン」とサーモン寿司の普及

1986年から1990年にかけて、オルセンはノルウェー政府の水産輸出事業である「プロジェクト・ジャパン」のメンバーとして活動しました。このプロジェクトは、当時ノルウェーで問題となっていた水産品の供給過剰を解決するため、水産品需要の高い日本への輸出を強化することを目的としていました。オルセンは、自身の専門分野と日本語能力を活かし、ノルウェー産サーモンを日本に売り込む役割を担いました。

1991年から1994年には、東京の駐日ノルウェー大使館に水産参事官として勤務し、日本に「サーモン寿司」を普及させることに尽力しました。当時、日本では生鮭を食べる習慣は一般的ではなく、寄生虫（アニサキス）の問題から生食は敬遠されていました。しかし、オルセンはノルウェー産サーモンには寄生虫がいないという強みを活かしつつ、あえて「寄生虫」について過度に言及しないという戦略を取りました。また、日本産鮭との差別化を図るため、「サケ」ではなく「サーモン」という名称を使用することを推奨しました。

オルセンは、日本の市場に合わせた綿密なマーケティング戦略を展開し、様々な企業との商談を重ねました。その結果、1991年にニチレイとの間で商談が成立し、さらにバブル崩壊後の低価格回転寿司ブームが追い風となり、1995年にはサーモン寿司が日本で広く受け入れられるようになりました。現在では、サーモン寿司は日本のみならず、世界中で人気の寿司ネタとなっています。

その後の活動と評価

オルセンは、スペアバンク1・ノード・ノルゴ・カルチャー・ビジネス・デベロップメント財団のジェネラルディレクター、トロムソ大学教員、トロムソ国際映画祭審査員などを歴任しました。また、合気道の有段者（2016年に七段）でもあり、ノルウェー合気道連盟の主席師範も務めています。

2015年には、大日本水産会に「サーモン寿司30周年に際してのご挨拶」を送り、2019年放映のテレビ番組『この差って何ですか?』などでも、オルセンの功績が紹介されています。彼の日本におけるサーモン普及への貢献は、日本の食文化に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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